2010年8月7日(土) 14:00開場(14:15より指揮者によるプレトーク) 15:00開演
@ミューザ川崎シンフォニーホール
フェスタサマーミューザKAWASAKI 2010 日本フィルハーモニー交響楽団

ソプラノ:安井陽子
クラリネット:伊藤寛隆(日本フィル首席奏者)
管弦楽:日本フィルハーモニー交響楽団
指揮:シズオ・Z・クワハラ


ラフマニノフ:ヴォカリーズ
コープランド:クラリネット協奏曲
---休憩(20分)---
ラフマニノフ:交響曲第3番


比較的珍しいプログラム揃いで、興味深いコンサートでした。
昨日に引き続き、全てアメリカ関連の作品でしたが、隠されたテーマは「アメリカから見たロシア」といったところでしょうか。
ラフマニノフが最終的にアメリカで活躍したのは周知の事実ですが、
一見ロシアとは関係なく思えるコープランドも、ユダヤ系ロシア移民の息子だということですから、
大変良く練られたプログラムだと感心しました。

まず開演前のプレトークを聴く。日本フィル首席奏者陣による弦楽四重奏を挟みながら、約30分を要しました。
ラフマニノフについてのみの解説で、まず彼の生い立ちから話が始まります。
少年期は色々とサボり気味で、学生時代は作曲することを先生が認めてくれなかったのだとか。

今回のメイン・プロ、交響曲第3番は、ルツェルンに構えた別荘で書かれたそうです。
ここで、あの有名な「パガニーニの主題による狂詩曲」も生まれています。

交響曲第3番の冒頭では、たった3つの音でメロディが構成されているとか、
第3楽章ではグレゴリオ聖歌「怒りの日」(ベルリオーズの「幻想交響曲」第5楽章でも使われてるアレです)が引用されているとか、なかなか面白いお話を聴かせて頂きました。

ちなみに、クワハラはかつてフィラデルフィア管弦楽団のConducting Fellow=指揮研究員を務めたそうなのですが、そのフィラ管はラフマニノフがオーマンディやストコフスキーとの共演でよく共演していましたよね。
ラフマニノフとクワハラ、100年近くの隔たりがありますが、意外な繋がりがあるようです・・・。

クワハラの客席も巻き込んだトークと、最後のラフマニノフの弦楽四重奏曲の演奏(題名は忘れました)なども含め、良い導入になったと思います。

さて、実際の演奏に移りましょう。
まず、ヴォカリーズ。これはソプラノとオーケストラのための作品ですが、
私はラフマニノフによる管弦楽版がどうも好みのようです(刷り込み盤・・・マゼール指揮BPO)。
繊細で良い演奏でしたけどね。

続いてコープランドのクラリネット協奏曲。
何とも洒落た曲でありました。昨日のリーバーマンの難解さとは全然違う、自然に音楽に入っていける感じ。
どうせアメリカ音楽なら、こういう軽いノリが好きです(とか言いながらアンダーソン無理なんですよね・・・)。
首席が務めたソロも、親密なアンサンブルに助けられてか、軽快に曲を奏でていて好印象でした。

そして、メインの交響曲第3番。
いやぁ、これは面白い曲ですねぇ!ラフマニノフの交響曲は第2番しか聴いたことがありませんでしたが、
これはもっと演奏されるべき名曲です。
第1楽章では、先述した、憂いを湛えたシンプルな序奏から始まり、いきなり全管弦楽が爆発するという派手な出だし。ヴァイオリンのコル・レーニョ(弓の木製部で弦を弾く特殊奏法)や、打楽器の乱打など、視覚的に楽しめる楽章でした。
しかし、第2楽章もそこそこに、第3楽章は凄かったですね~。(この曲はフランクなどと同じく、3楽章構成です)
第1楽章と良く似た序奏に始まり、それがどんどんと変容して爆発的なフィナーレに至る。
こう書くと単純そうですね。はい、確かに単純です。けれど、こういうのが交響曲の本質などではないかと思います。最後は打楽器がこれでもかと炸裂していました!

クワハラさんは全て指揮棒を持たずに振っていました。
まだ30代、本当にフレッシュで弾力性のある音楽作りで、日本フィルも安定した演奏で、燃えていました。
某「炎の」指揮者の時には荒れていたアンサンブルですが、今はいいじゃないですか!

色々な意味で、良い演奏会でした。

それでは。