大変遅くなってしまいましたが、簡単に印象だけ。

2010年12月18日(土) 13:20開場 14:00開演 @横浜みなとみらいホール 大ホール
NHK交響楽団 2010横浜定期演奏会

管弦楽:NHK交響楽団
指揮:シャルル・デュトワ
ピアノ:ピエール=ロラン・エマール

ラヴェル:ピアノ協奏曲
~ソリスト・アンコール~
ブーレーズ:12のノタシオン より

---休憩(20分)---

ショスタコーヴィチ:交響曲第8番


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こんばんは。

エマールとデュトワ指揮N響を、みなとみらいで聴いてきました。
(2階席3列目での鑑賞)

デュトワとN響を聴くのは、去年のちょうどこの時期、
R.シュトラウスの「ドン・キホーテ」をメインに据えたプログラム以来。
その時はNHKホールのチープな音響もあって印象が薄いのですが、
今回は世界最高のピアニストの一人、エマールとの共演+大作8番、期待が高まります。

まずラヴェルですが、エマール×デュトワのフランスものが悪かろうはずがありません。
しかし、それを差し引いても本当に感じ入りましたね。

エマールは、決して猛々しい打鍵でアピールしたり、奇抜なテンポ(4月のフィラデルフィア管・・・)で度肝を抜いたりはしませんよ(少なくとも今回の演奏では)。
完全に脱力して、一音一音の表情の変化に耳を澄ましました。

第1楽章のムチの直後のピアノの音色、これほど儚げに奏でられるものなのでしょうか?
終結部の、誇張なしの躍動も見事に決まります。
第2楽章は私がこれまでで聴いた中では最高の演奏。
愛おしく奏でられる悠久の旋律と、それに絡む弦楽器とコーラングレ(ブラーヴァ!)。
途中ハープも加わっていたからでしょうか、何だかブルックナーのアダージョを聴いているかのような暖かな幸福感と、過ぎ去る時間の切なさに、思わず落涙しました。
―トランペットとスネアによって現実に引き戻され、第3楽章。
リズム感は抜群で、テンポも速いのに、漂い続ける「余裕」は何なのでしょうか?
それは、きっと彼の腰の据わった打鍵によるものでしょう。重心が低く、決して走ったり、軽率にならない。
関山氏のトランペットの他、幾多の難ソロも、流石は名手揃いのN響、安定した演奏です。
それにしても、「盟友」デュトワは伴奏上手いですねぇー。寸分のずれもなくぴったり付けていきます。

カーテンコールにて、エマールは万雷の拍手と歓声に応え、客席に声をかけました。

“Pierre Boulez, Notations.”

「ノタシオン」はブーレーズ自身の指揮の演奏しか聴いたことがありませんでしたが、
もともとはピアノ版なんでしたっけ?どっちだったか・・・。
流石は現代音楽で快演が続くエマール、本プロと同等かそれ以上の素晴らしさ。
ピアノから滲み出る怪しげな雰囲気は、夜明け直後の樹海を彷徨うかのよう。
完全に彼の世界に引きずり込まれましたね。ブラヴォー。

やはりエマール、天才としか言いようがない。

―そしてメインのタコ8。
例によってB定期の持ち回りですが、昨年のB定期でデュトワはやはり第11番「1905年」を取り上げましたし、同時期にゲルシュタインのソロでピアノ協奏曲第2番も演奏しています。
デュトワ、よほど気に入っているのでしょう。

第1楽章、冒頭の低弦の響きから、「おおっ、今日は凄い演奏になる」と確信。この出だし、ロストロなどの演奏を聴くと、「荒々しい」と感じます。しかし、彼の場合はそういった印象より、内に凝縮され、濃密かつしなやか、という感じです。決してショスタコの暴力的要素を前面に出すのではなく、その卓越した作曲技法を解きほぐし我々に鮮やかに提示する。それがデュトワのショスタコーヴィチなのでしょう。
しかしこの日のN響は凄まじい。弦はいつもにも増してもの凄い量感、木管の寥々としたソロ、金管の咆哮(ただトランペットは、まだ水準より下でしょうか)。間違いなく本気です。
話を元に戻して、第1楽章中盤の炸裂する大音響に向かって一気にクレシェンドする弦楽奏者達の鬼気迫る表情と言ったら!藤森さん血管切れますよ!しかもその後の静謐さへの転換の早さ。神業です。
第3楽章も切れ味抜群。「N響の」トロンボーンの超絶技巧が冴え渡りますが、やはりトランペット、ソロ自体はいいとしても、三連符はごまかしていましたね。
(ビシュコフ指揮ケルン放送響のこの動画を見てしまってからは・・・。タルケヴィ恐るべし)

ティンパニの乱打や楽章終盤での大爆発など、見せ所聴き所満載です。
諧謔な行進曲にのって、旧ソ連が崩壊していくような・・・デュトワの純音楽的な解釈によって、その不気味さが一層際立つのです。
切れずに進む第4・第5楽章も素晴らしい緊張感。あまり聴きこんでいなかったので詳しくは書けませんが。

正直私にとっては、付き合いきれない部分もあるショスタコなのですが、
今回の8番本当に感動しました。これから聴きこんでいくと思います。

繰り返しになりますが、アップが大変遅れまして申し訳ございませんでした。