July 23, 2011
2011/7/22 上岡敏之指揮東京フィル 「ザ・グレイト」他
2011年7月22日(金) 18:30開場 19:00開演 @サントリーホール 大ホール
東京フィルハーモニー交響楽団 第806回サントリー定期シリーズ
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
指揮:上岡敏之
コンサートマスター:青木高志
シューベルト:交響曲第7番「未完成」
---休憩(15分)---
シューベルト:交響曲第8番「ザ・グレイト」
創立100周年を迎え、邦人アーティストに集中したシーズンとなっている東京フィル。
この度の震災後、来日演奏家のキャンセルが相次ぐ中で、図らずもアドヴァンテージとなってしまっています。(不謹慎で申し訳ありません)
さて、7月の指揮者は大植英次氏と今回の上岡敏之氏。
どちらもクラシックの本場・ドイツでの株を上げている、現在躍進中の方であります。
特に上岡氏は、読売日響との「ばらの騎士」組曲、N響との第9等の名演で、日本でも注目度の上がっている指揮者ですね。今回初めてナマで聴きます。
一曲目の「未完成」ですが・・・数少ない「どうしても」好きになれない曲の中の一つです。
これまでワルター/コロンビア響等、古典的な名盤も大体聴いてきましたが、未だに良さが分かりません。
今回の演奏で苦手解消出来るかと思っていました。
結果は・・・ダメでした。
冒頭の低音が通常以上に厳粛なピアニッシモで始まり、非常な緊張感を持ち始めたまでは「おっ、いけるかな?」と思ったのですが、私は第2楽章入るまでに舟を漕いでいたと思います・・・情けない。
やっぱりシューベルトは初期交響曲が良いと思うんだよなぁ・・・。
さあ、気を取り直して「ザ・グレイト」です。
この曲に限らず、シューベルトの交響曲は番号の変遷が激しいことでも知られていますが、この曲も昔までは「第9番」でした(私もそのほうがしっくり来るのですが)。現在は版が改訂されて、第8番に落ち着いているようですが。
冒頭のホルン・ソロは、止まってしまいそうな遅さ。あ~、彼のブル7のように超激遅演奏になるのか、と思いましたが、その後は妥当なテンポで進んでいきます。楽章終盤で鳴り響くトロンボーンを敢えて抑えてしまった解釈には賛同できませんが・・・。
総論としては弦の厚みのあるサウンドをベースにした、堅牢な演奏だったのではないでしょうか。
ただ一点、第4楽章の最終音に記された記号(殴り書きなので判別が困難)を「アクセント」と解釈するか、「デクレシェンド」と解釈するかというのはちょっとした論点になりますが、何と上岡氏は完全にデクレシェンドと解釈。しかし美しく曲が閉じられたので、あまり尻すぼみといった印象は抱きませんでした。静かなホルン・ソロに始まり、デクシェンドで終結するのは、静に始まり静へと帰る、といった感じで何か一貫性を持たせているのかなぁ、とも思いましたが。
それにしても、上岡氏の指揮は歯切れが良いですね。体のバネを存分に活かして、指揮台で屈伸運動。棒さばきも実に弾力性があります。ただ、第4楽章で前面にでる楽器を次から次に指し示したりと、やや「暗譜してますよ」アピールが鼻についたきらいはありましたが。東京フィルも、今日は先述した弦をはじめ、各セクションが充実。見事な一体感を誇っていました。
今度はR.シュトラウス、マーラーあたりを聴いてみたいですね。独自の境地が聴けそう。
ではでは。
東京フィルハーモニー交響楽団 第806回サントリー定期シリーズ
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
指揮:上岡敏之
コンサートマスター:青木高志
シューベルト:交響曲第7番「未完成」
---休憩(15分)---
シューベルト:交響曲第8番「ザ・グレイト」
創立100周年を迎え、邦人アーティストに集中したシーズンとなっている東京フィル。
この度の震災後、来日演奏家のキャンセルが相次ぐ中で、図らずもアドヴァンテージとなってしまっています。(不謹慎で申し訳ありません)
さて、7月の指揮者は大植英次氏と今回の上岡敏之氏。
どちらもクラシックの本場・ドイツでの株を上げている、現在躍進中の方であります。
特に上岡氏は、読売日響との「ばらの騎士」組曲、N響との第9等の名演で、日本でも注目度の上がっている指揮者ですね。今回初めてナマで聴きます。
一曲目の「未完成」ですが・・・数少ない「どうしても」好きになれない曲の中の一つです。
これまでワルター/コロンビア響等、古典的な名盤も大体聴いてきましたが、未だに良さが分かりません。
今回の演奏で苦手解消出来るかと思っていました。
結果は・・・ダメでした。
冒頭の低音が通常以上に厳粛なピアニッシモで始まり、非常な緊張感を持ち始めたまでは「おっ、いけるかな?」と思ったのですが、私は第2楽章入るまでに舟を漕いでいたと思います・・・情けない。
やっぱりシューベルトは初期交響曲が良いと思うんだよなぁ・・・。
さあ、気を取り直して「ザ・グレイト」です。
この曲に限らず、シューベルトの交響曲は番号の変遷が激しいことでも知られていますが、この曲も昔までは「第9番」でした(私もそのほうがしっくり来るのですが)。現在は版が改訂されて、第8番に落ち着いているようですが。
冒頭のホルン・ソロは、止まってしまいそうな遅さ。あ~、彼のブル7のように超激遅演奏になるのか、と思いましたが、その後は妥当なテンポで進んでいきます。楽章終盤で鳴り響くトロンボーンを敢えて抑えてしまった解釈には賛同できませんが・・・。
総論としては弦の厚みのあるサウンドをベースにした、堅牢な演奏だったのではないでしょうか。
ただ一点、第4楽章の最終音に記された記号(殴り書きなので判別が困難)を「アクセント」と解釈するか、「デクレシェンド」と解釈するかというのはちょっとした論点になりますが、何と上岡氏は完全にデクレシェンドと解釈。しかし美しく曲が閉じられたので、あまり尻すぼみといった印象は抱きませんでした。静かなホルン・ソロに始まり、デクシェンドで終結するのは、静に始まり静へと帰る、といった感じで何か一貫性を持たせているのかなぁ、とも思いましたが。
それにしても、上岡氏の指揮は歯切れが良いですね。体のバネを存分に活かして、指揮台で屈伸運動。棒さばきも実に弾力性があります。ただ、第4楽章で前面にでる楽器を次から次に指し示したりと、やや「暗譜してますよ」アピールが鼻についたきらいはありましたが。東京フィルも、今日は先述した弦をはじめ、各セクションが充実。見事な一体感を誇っていました。
今度はR.シュトラウス、マーラーあたりを聴いてみたいですね。独自の境地が聴けそう。
ではでは。
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この記事へのコメント
1. Posted by pretre July 27, 2011 04:06
1. 無題
シューベルトは初期交響曲にあり!素晴らしい。僕と同じですね。未完成より初期交響曲がどれだけ魅力的か。いい耳してます!
シューベルトは初期交響曲にあり!素晴らしい。僕と同じですね。未完成より初期交響曲がどれだけ魅力的か。いい耳してます!
2. Posted by たくぽん July 27, 2011 07:06
2. Re:無題
>pretreさん
そうそう!そうなんですよね!
丁度良いのでここでpretreさんにお礼させてください。昨年プレートルとウィーン・フィルが来日した時、チケットを買おうか買うまいか本気で迷いました。その時背中を押してくださったのがpretreさんのブログでした。本当に感謝してもしきれません。ありがとうございました。
ところで、今日聴きに行くスダーン/東京響もシューベルト・ツィクルスをやっていましたね。CDも出ているので、聴いてみようかな?
>pretreさん
そうそう!そうなんですよね!
丁度良いのでここでpretreさんにお礼させてください。昨年プレートルとウィーン・フィルが来日した時、チケットを買おうか買うまいか本気で迷いました。その時背中を押してくださったのがpretreさんのブログでした。本当に感謝してもしきれません。ありがとうございました。
ところで、今日聴きに行くスダーン/東京響もシューベルト・ツィクルスをやっていましたね。CDも出ているので、聴いてみようかな?
3. Posted by pretre July 28, 2011 04:03
3. 無題
>たくぽんさん
いやいや、若いのに素晴らしい感性には感服します。西宮まで僕も行きましたがいい想い出になりましたよ。素晴らしい経験です。スダーンのシューベルトは少しクセがあるかな。2番の出だしは拍の取り方が違ったり。シューベルトの初期交響曲はひどい演奏はないですから安心して聴けますね。
>たくぽんさん
いやいや、若いのに素晴らしい感性には感服します。西宮まで僕も行きましたがいい想い出になりましたよ。素晴らしい経験です。スダーンのシューベルトは少しクセがあるかな。2番の出だしは拍の取り方が違ったり。シューベルトの初期交響曲はひどい演奏はないですから安心して聴けますね。