インバル指揮フランス国立放送フィルのブルックナー2番!2012/12/23 新鮮!カンブルラン指揮読響の「第9」

December 23, 2012

2012/12/20 実に鮮やか!天才フルシャ指揮都響による「幻想」2題

2012年12月20日(木) 18:20開場 19:00開演 @東京文化会館 

東京都交響楽団 第746回 定期演奏会Aシリーズ

マルティヌー:交響曲第6番「交響的幻想曲」

---休憩(20分)---

ベルリオーズ:幻想交響曲

管弦楽:東京都交響楽団
コンサートミストレス:四方恭子
指揮:ヤクブ・フルシャ


公演日から数日経ってしまいましたが。

以前の記事を読んでくださればお分かりいただけると思いますが、
この12月にトゥールーズ・キャピトルの幻想を名古屋で聴いた後、
「流石の都響も彼らに勝てるかな・・・」と、行こうか行くまいか大変迷っていました。
ですが、15日のB定期の評判が頗る良かったようですし、フルシャもお初だからということで参戦してまいりました。
いやぁ~、本当に決断して正解でした!こんなに気持ちの良いコンサートを体験できるとは!

今回のプログラミング、実に面白いですね。マルティヌーが作曲の初期段階において、「新・幻想交響曲」と呼んだ作品を、実際幻想交響曲と一緒に演ってみるとどうなるか?
また、チェコのマイナー作品とポピュラーな作品を組み合わせたという点でも実にフルシャらしいと思います。
マルティヌーが1953年、幻想交響曲が1830年に成立していますから、この二人の作曲家の生きた時代は実に2世紀も離れているわけです。にも係らず、ベルリオーズの音楽の先鋭的なこと!我々でさえこう思うのですから、当時の聴衆はもうたまげるなんてものではなかったでしょうね。


閑話休題、演奏の方へ移りましょう。

今回の都響は、弦楽はなかなか豪華で、四方さん・山本さんのダブルコンマス体制に加え、ヴィオラ陣には店村さん・鈴木さんが並びました。チェロは古川さん、2ndは失念。
管楽器はCl三界さん、Ob広田さん、Fg山本さん、Fl柳原さん、Tp高橋さん、Tb小田桐さん、Hr有馬さんなど。

前半のマルティヌー、彼の最後の交響曲で、25分程度の作品でしたが、かなり綿密でぎっしりと詰め込まれており、予想以上の充実感がありました。
チェコの作曲家というと濃厚な民族色の発露を想像しますが、パリで学びアメリカで活躍したということで、民族色はほんの隠し味程度です。代わりに実にモダンな作風が印象的でした。
「幻想曲」らしくというべきか、息の短い主題が次々と登場して目まぐるしく変貌していきますが、随所に現れる打楽器のリズムは、戦争終結から間もない当時の情勢を想起させます。

フルシャと都響は実にスマートな演奏でした。各声部が手に取るように分かるバランスの良さは特筆ものです。フルシャも都響の実力を完全に信頼してのことでしょう、それほど頻繁に指示を出しまくるでもなく、ここぞという時に強力にオケをドライヴしました。都響の打楽器セクションは相変わらずキレが良く見事!

休憩後の幻想交響曲、前半で既にかなり満足しましたが、こちらは更にその上を行く超絶的演奏。文化会館の残響の少なさを逆手にとるとは!フルシャ、天才としか言えません。
先日のトゥールーズは、ソヒエフのこだわりなのでしょう、ゆったりとしたテンポによる壮大な音絵巻、という趣でしたが、今回は等身大で熱く熱く燃える幻想でした。どちらも甲乙つけ難いものです。

フルシャの指揮は実にオーソドックスなもので、1~3楽章は淡々と進み、4・5楽章でその魔性を表出するという描き分けが見事です。第1、4楽章ではリピートあり!
また、第1楽章のオーボエ・ソロに対するチェロの旋律を、芸術家の鼓動のように波打たせて行ったり、第5楽章のヴィオラ群の不気味なメロディをかすれ気味に、よりおどろおどろしく彩ってみたりと(恐らく、駒の近くで弾かせたのでしょう)、我々が慣れ親しんだこの曲からアッと驚くような斬新な要素を引き出していました。

都響も前半より更にパワーを増し、文化会館のストレートな音響を生かして、後半楽章では金管はベタ吹き気味で圧倒。第2楽章のコルネット・ソロを担当した高橋さんもブラヴォーでした。
逆に、前半では繊細にして華やかな色彩を見せました。各セクションの安定感は言わずもがな。木管も実に色彩感豊か。故フルネと培った伝統がまだ生きているということでしょうか。
特に、クラリネット群は三界さんの完璧なソロもさることながら、3rdの小クラリネットを奏した糸井さんは本当に凄かった!弦楽の厚みもいつも以上で、フルシャのテンポ変化にも完璧につけていました。
というわけで、都響の実力は間違いなくトゥールーズと肩を並べているのですが、やはり極彩色とも言えるフランスオケの色彩感には及ばなかったですね。それでも特筆すべきレヴェルであり、トゥールーズが異常と言えるのでしょうが(笑)

フィナーレではフルシャも物凄い迫力の指揮で圧倒し、燕尾服の下に着ているウェストコートが破れてしまいました。こんなこともあるのですね。終演後はオーケストラのメンバーともども実に和やかな雰囲気となりました。オケとの信頼関係はインバルとのそれに並ぶでしょう。

フルシャと都響、来年度は4公演ありますね。ますます強力なコンビになりそうで楽しみ。



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takupon68 at 10:05│Comments(0)TrackBack(0)公演評 

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