2015/2/26 秋山/東響の英国プロ2015/2/28 モンテカルロ・バレエ団「LAC~白鳥の湖~」

February 28, 2015

2015/2/27 アンデルシェフスキ ピアノ・リサイタル

2015/2/27
JUST ONE WORLDシリーズ 第14回 ピョートル・アンデルシェフスキ
@フィリアホール

J. S. バッハ:フランス風序曲
シューマン:8つのノヴェレッテより 第8番
シューマン:幻想曲
J. S. バッハ:イギリス組曲第3番
~アンコール~
シューマン:8つのノヴェレッテより 第8番
ベートーヴェン:6つのバガテルより 第1曲

ピアノ:ピョートル・アンデルシェフスキ


アンデルシェフスキ、今回の来日最終公演。パーヴォ/N響と共演した際はどこかよそよそしい音楽で心配していたが、N響との4回の演奏会を終え、ソロで自分一人と向き合う過程で徐々に彼らしい自由さが復活してきたのではないか。25日のオペラシティでも好評だったようだが、ここフィリアホールの贅沢な小空間で体験するアンデルシェフスキは本当に素晴らしい音楽を存分に聴かせてくれた。
オペラシティでは曲目を変更したらしいが、フィリア公演ではそれに加え、前半と後半でピアノ(同じスタインウェイ)を弾き分けることをも選んだ。「弾き分け」が最初から銘打たれた企画ならともかく、通常のコンサートでは異例のことだ。そして、これが功を奏したのである。前半も勿論素晴らしかったのだが、ピアノから少々弦の雑音のような音が聴こえ、「おや」と思う場面があった。後半のシューマン「幻想曲」では低音部の強靭な打鍵をしっかりとピアノが受け止め、かつ曲想の繊細な変化に合わせ空気感まで自在に変えてしまう彼の演奏の魅力を余すところなく伝えてくれた。バッハはシューマンに比べると澄明だが、淡々としているように見えて恐ろしく中身の濃い音楽。
弾きながらこみ上げるものがあったのか、アンデルシェフスキはイギリス組曲が終わった後答礼もせず呆然とした面持ちで一度舞台袖に引っ込み、2回ほどカーテンコールを繰り返した。その後、「(日本語でなくて)英語でごめんなさい、今からもう一度ノヴェレッテを弾きます。このピアノの方が・・・ずっと心地よいから」(much more comfortableと言っていた)と告げてノヴェレッテをもう一度弾いてくれた。彼の言うとおり、前半よりずっと彼の没入も激しく忘れがたい演奏となった。最後の6つのバガデルも素敵な贈り物。

フィリアホールに集った聴衆の温かい雰囲気も良い方向に作用したと思われる。これまで生で聴いた中で一番素晴らしいピアノ演奏だった。アンデルシェフスキのステージ姿は、正直何を考えているのかよく分からず宇宙人(暴言!)っぽいのだが、彼は楽器を通じてわれわれに語りかけているのだ。作曲家の意図を音にして聴衆に伝える、とはよく言われる言葉だが、それを脚色や誇張なしに体験できる音楽家はほんの一握りであり、超一流だ。アンデルシェフスキは間違いなくその一人。

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takupon68 at 09:46│Comments(0)TrackBack(0)公演評 

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