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February 16, 2015

2015/2/15 エッティンガー/東フィルのマーラー5番

2015/2/15
東京フィルハーモニー交響楽団 第858回オーチャード定期シリーズ
@Bunkamuraオーチャードホール

モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番
~アンコール~
シューベルト:3つの軍隊行進曲より 第1番
マーラー:交響曲第5番

ピアノ:菊池洋子
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
コンサートマスター:荒井英治
指揮:ダン・エッティンガー

エッティンガーの東フィル常任指揮者としての最後の公演。ある方のご厚意で公開GPからたっぷりと聴かせて頂きました。ありがとうございました。
このゲネが強烈で、何と協奏曲含め全プログラムをまるまる演奏。しかも途中で止めて修正もしつつだったので、終了予定の12:30を大幅にオーバーして13:10に。この時点で14時開演の読響は諦めた。協奏曲では無難に音楽の形を整えてソリストに任せる指揮者もいるが、エッティンガーは妥協なくしっかりと表現を突き詰めていた。

本番は15時から。モーツァルトのK.466は彼の協奏曲の中でも一番好きな作品。これがてっきり初めての実演で、やっと・・・!と思っていたら、実は昨年都響の肖像シリーズでも聴いていた。「皇帝ティートの慈悲」序曲からの調性的な繋ぎが即興で挿入されたから、印象が薄くなっていたのだろうか(汗)
菊池さんのピアノは決して停滞せず、かつ正確を期すあまり固くなったりもせず、コロコロといとも簡単に失われてしまいそうな微細なニュアンスを全曲に渡って保ち続ける。最良のモーツァルト演奏だった。エッティンガーはピタリと寄り添い、且つディナーミクを大きく取り劇的に表現。冒頭の弦など殆ど聴こえない程度に落とす一方で、ティンパニやホルンなどはかなり激しく鳴らしていた。アンコールは何とエッティンガーと菊池さんの連弾で、途中で高音部と低音部が入れ替わるという遊びも。かなりお二人とも親密な様子で、ちょっと妬いてしまった(笑)

マーラーの中期の傑作・交響曲第5番は近年でいうとインバル/都響の驚異的完成度の演奏が鮮烈に思い返されるが、エッティンガーは同じユダヤ人でもインバルとはかなり芸風が異なる。(GP前のプレトークでも語っていたが)彼はやはりオペラ畑の人間で、シンフォニーの演奏においても基本的姿勢は変わりない。第2楽章後半のコラールで大胆なリタルダンドを施したり、第4楽章を止まるのではないかというようなスローテンポで演奏したり。即興的な棒の動きも少なくなく、東フィルは必死につけていた。ただGPと本番で大曲を一日に2回通したのは正直キツかったようで、第3楽章のある時点から徐々に疲れが見て取れたように思う。精巧に作られたフーガ楽章である5楽章においては、エッティンガーのやや強引な音楽作りは響きの透明感という点でマイナスに働いたようだったけれど、その他の楽章の説得力は独特で、音圧もかなりのものがあった。
先ほどインバルとはかなり異なると書いたけれども、強調したいフレーズなど共通する点も少なくなかった。多分、作為的なものというよりは民族的なイドによる繋がりではないか。(あまり、こういう言い方はしたくないけれど)



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takupon68 at 10:49│Comments(0)TrackBack(0)公演評 

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2015/2/14 カワケン/神奈川フィルのリゲティ、ハイドン2015/2/16 藤村実穂子 サントリー音楽賞記念コンサート