2015/2/13 パーヴォ・ヤルヴィ/N響のショスタコーヴィチ5番2015/2/15 エッティンガー/東フィルのマーラー5番

February 15, 2015

2015/2/14 カワケン/神奈川フィルのリゲティ、ハイドン

2015/2/14
神奈川フィルハーモニー管弦楽団 音楽堂シリーズ 第3回定期演奏会
@神奈川県立音楽堂

リゲティ:歌劇「ル・グラン・マカーブル(大いなる死)」より ゲポポのアリア(マカーブルの秘密)
ハイドン:チェロ協奏曲第1番
~ソリスト・アンコール~
J. S. バッハ:無伴奏チェロ組曲第1番より プレリュード
ハイドン:交響曲第60番「うかつ者」

ソプラノ:半田美和子
チェロ:門脇大樹
管弦楽:神奈川フィルハーモニー管弦楽団
コンサートマスター:石田泰尚
指揮:川瀬賢太郎

正直に言うと、リゲティの「マカーブルの秘密」聴きたさ(観たさ?)でチケットを取った演奏会だったのだが、他の曲も実に素晴らしく充実していた。神奈フィルの演奏会は、終わった後本当に充たされた気分で帰れるから大好き!
リゲティによる”オペラを破壊するような”オペラ「グラン・マカーブル」から、第2幕で秘密警察ゲポポが歌う謎の暗号のアリアを抜粋した「マカーブルの秘密」。バーバラ・ハンニガンとサイモン・ラトルがヨーロッパ各地で度々上演しているが、日本では殆ど演奏される機会がないと思う。神奈フィルあっぱれ!これを機会に次々と上演が実現してほしい。
ステージ上にはマンドリン、多数の打楽器を交えた小管弦楽(弦は各一本ずつ)が並び、下手から現れて歩きながら演じるソプラノと次々に掛け合いが繰り広げられる。途中新聞紙をビリビリと破いたり、one, two, three...とオケメンバーが起立していったり、凄まじい高音を隣で響かせるソリストに指揮者が「うるさいんだよ!」と怒鳴って逆にビンタを食らい、素直に謝罪したり(笑)と、全編見所・聴き所。こればっかりは録音だと面白さが半減してしまうだろう。コロラトゥーラの超絶技巧も散りばめられたこの難曲の録音も残す半田さんは役にどっぷりと入り込んだ素晴らしい歌唱。先述した演技も含め、唐突な変拍子が続く音楽を見事に処理した川瀬さん/神奈フィルも見事だった。そもそも、「ハイドンの前にマカーブルをやろう!」というアイディアが通っている時点で川瀬さんと神奈フィルの関係の磐石さが想像できる。
舞台転換の後、首席チェロ奏者の門脇さんのソロによるハイドンの協奏曲。門脇さんのまろやかで上品なサウンドを最大限に引き立てるべく、バックのオケが本当に心を込めて伴奏しているのがよく伝わってきた。バロックの典型のようなこの協奏曲において、そこに流れた上質なひとときは抗し難い魅力があった。アンコールのバッハも心にすうっと染み入ってきた。休憩中にどなたかが「バッハは何でも受け入れる懐の深さがある」と仰っていた(ような気がする)が、まさしくその通りだと思う。ジーンと来た。
休憩を挟んだ交響曲第60番「うかつ者」は同じハイドンでも全く違った作品。2曲並べて聴いたことで、ハイドンの芸風の広さと先駆性、そしてなによりユーモアのセンスの素晴らしさを痛感した。劇付随音楽を交響曲の形にまとめたということで、異例の全6楽章構成。(マーラー3番のように長くはありませんが!)2楽章では優雅な旋律に突如ファンファーレが乱入するなど、マーラー「巨人」の3楽章のような大胆なことを既にハイドンがやっていたことに驚愕。(←ハイドンだけに)
4楽章での弦楽による疾風怒濤の音楽はこの時代の交響曲としてはあまりに激しく、なるほど元々が劇付随音楽なのだな、と思わせる。そして終楽章始まってすぐに爆笑の仕掛けが・・・(笑)詳しくは書きませんので、興味のある方は是非音源を聴いてみて下さい。一つだけ、石田コンマス、リアルすぎて本当に怖いです(苦笑)

若々しい弾力性と、整然と楽曲をまとめあげる術を併せ持つ川瀬さん。神奈フィルとのコラボレーションがますます深まっているようで本当に嬉しいです。来週の定期も楽しみ!小ロシア!



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takupon68 at 10:50│Comments(0)TrackBack(0)公演評 

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