2014/11/28
読売日本交響楽団 第576回サントリーホール名曲シリーズ
@サントリーホール

モーツァルト:歌劇「魔笛」序曲
シューマン:交響曲第3番「ライン」
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」

管弦楽:読売日本交響楽団
コンサートマスター:長原幸太
指揮:シルヴァン・カンブルラン

カンブルラン/読響による変ホ長調プロを聴いた。
プログラムごとにガラリと装いを変えるのがこのコンビの個性であり魅力だが、昨夜もまた新たな一面を発見。美的嗅覚の鋭いカンブルランをシェフに迎えてから、読響が元来持つ重厚さ・機能性はそのままに、音色のパレットがぐんと豊かになったように思う。(おまけに彼は現代屈指のオペラ指揮者だ!)
前半「ライン」ではゲストHrの日橋さん(日本フィル)の大活躍に耳を奪われる。1stの彼が目立ちすぎてホルンセクションのバランスに疑問符が付いたのはご愛嬌として、吹き損じを恐れず野太く攻めまくるホルンは実に爽快だ。カンブルランの指揮はキビキビとして快活。
後半の「エロイカ」は前半よりずっと刺激的!我が国随一のアンサンブルを誇る読響が、あれほどしゃかりきになって弾く姿を拝める機会はそう多くない。
とにかく圧倒的に速いテンポ。第1楽章で繰り返しを行ったにもかかわらず全体は45分を切っていた。この速さで普通に演奏するだけでも大変なのに、カンブルランは新鮮味ある楽器の重ね方を随所で実践しようとしていた。流石に4楽章などでは木管群を中心に疲弊が見られたし、全体的にアンサンブルにはこのオケらしからぬ瑕が多かった。だが「現代音楽を日常的に取り上げる指揮者が、敢えて現代オケでベートーヴェンを演奏する意義」を体現したような鮮烈な演奏には瑕のないパフォーマンス以上の価値があったと思う。メッツマッハーが演奏するベートーヴェンにも若干通ずるものがあるかもしれないが、彼が根本ではドイツの流儀を尊重しているのに対し、カンブルランのベートーヴェンはもっとクリエイティヴで現代オケの限界に挑むようなスリリングさがある。21世紀のクラシック音楽は、まだまだ死なない。