2014/11/15
東京都交響楽団 「作曲家の肖像」シリーズ Vol.99 《モーツァルト》
@東京芸術劇場

モーツァルト:歌劇「皇帝ティートの慈悲」序曲
モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番
〜ソリスト・アンコール〜
モーツァルト:ピアノ・ソナタ第18番 K. 576 より 第2楽章
モーツァルト:交響曲第38番「プラハ」

管弦楽:東京都交響楽団
コンサートマスター:山本友重
ピアノ、指揮:ロバート・レヴィン

ノリントン/N響との共演でも茶目っ気を振りまいたレヴィン博士、今回の都響客演では弾き振り、即興演奏、指揮に加えて舞台転換中のトークまで一人でこなす縦横無尽ぶり。トークではモーツァルトの時代の演奏スタイル、協奏曲での即興の取り入れ、ホグウッドへの言葉などが語られた。
全編を通じ、清楚系ではなくイタズラ坊主のモーツァルト。協奏曲では疾風の如き速いテンポで、3楽章はオケのアンサンブルが大変そうだった。アンコールのソナタではレヴィンの粒立ちのくっきりしたサウンドが心地よい。
後半の「プラハ」もレヴィンのやりたい放題。まず指揮姿が面白い。専任の指揮者ではないからこその大胆さかもしれないが、がに股で指揮台に立ったかと思えば、ボクシングのように拳をぐいと突き出し、お尻をフリフリしてビートを刻む。両端楽章の終結はジャンプの着地音とともに(笑)
演奏も独特の世界であり、まるでマーラーの交響曲のように各声部の交錯や木管のアクセントをあちらこちらで強調し、モーツァルトの前衛性を暴いていった。ピリオド奏法ではないのに、これまでに聴き慣れていた名曲「プラハ」が、今ステージ上で新たに生を授かったかのよう!
都響は大胆なアプローチにも果敢に食いつき、なおかつアンサンブルはいつもと同じく極上。この安定感、素晴らしい。そして8型とは思えぬ豊かな鳴り(ちなみに1stVn-Va-Vc-2ndVnの対向配置で、Cbは上手)で芸劇の広大な空間を充分に満たす。
ホグウッド/都響のモーツァルトが叶わなくなったのは辛いが、レヴィンの多彩な音楽性を都響で味わいたくなった。彼は驚嘆すべき才人でありながら、その知性をひけらかす嫌らしさが微塵もない、チャーミングなキャラクターの持ち主なのである。