2014/10/9
読売日本交響楽団 第541回定期演奏会
@サントリーホール

ブルックナー:交響曲第0番
ベートーヴェン:交響曲第7番

管弦楽:読売日本交響楽団
コンサートマスター:長原幸太
指揮:スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ

実は今回が初の生スクロヴァチェフスキ。
御歳91歳の指揮者の音楽から第一に受けた印象は、「鋭い!」。

ブルックナー、ベートーヴェンともにかつてザールブリュッケン放送響(現・ザールブリュッケン・カイザースラウテルン・ドイツ放送フィルハーモニー管弦楽団)との録音があるが、今回の読響との演奏はより引き締まっていた。単純にテンポ感だけではなく、表現に迷いがなく、弦のアタックが非常に攻撃的。もっと下品に言えばガツガツしている。何よりベートーヴェンが全曲アタッカだったのには度肝を抜かれた!
そして流石は熟達の名匠、さりげない箇所にもちょっとした工夫が凝らされていて聴衆を飽きさせない。
ベートーヴェンで言えば、1楽章提示部繰り返しにおけるフルートの強調。(全体的に木管にはリズムをハッキリ刻ませていたが)また、第2楽章はppに始まり悲痛なクレシェンドを経てffに至り、やがてデクレシェンドしていくが、この音量変化があたかもムソルグスキーの「展覧会の絵」の牛車(ブィドロ)のように情景豊かに演奏されたのには驚いた。第3楽章ではスケルツォ(A)とトリオ(B)がABABAと対称になるが、二回目のAでは思い切り音量を落とし、一部音価も伸ばされていた。第4楽章は一気呵成だが各声部の交錯が手に取るように分かる。

一方のブルックナーは流石にベト7ほど聴き込んでいないので細部はコメントできないが、やはり一気呵成の音楽作り。ただ2楽章のしっとりとした弦の例えようもない美しさは今日の白眉だった。0番ということで習作なのでは?と思われる方がいるかもしれないが、ヌルテジンフォニーが書かれたのは1番の後。初期交響曲大ファンの自分としては素晴らしい音と解釈で聴けて大満足だった。

読響は在京オケの中でも最も指揮者への順応性の高いオケだと思っている。その中でもスクロヴァチェフスキとの固い絆は特別なようで、いつも以上に厚みがある低弦が聴かれたし、管楽器もキズを厭わない攻めの姿勢がビシビシと感じられた。(ただトランペットの音色には若干の違和感有)老匠を讃える動作も自然で快かった。
終演後は聴衆のおそらく半数以上が残りMr. Sを讃えるソロ・カーテンコール。指揮台上では矍鑠としたマエストロは、流石に足腰はだいぶ弱っているようで見ていてハラハラするのを通り越して、気の毒な気持ちになった(笑)
老匠を讃えるのが悪いことだとはまさか言わないし、年長者に敬意を持つ日本文化の顕れともいえる美徳だと思う。ただ、スクロヴァチェフスキが随所に施した細かな仕掛けがイマイチ自分の好みと合わなかったこともあり、どこか醒めた目で聴衆の興奮を見ていた。
まあ、インバルのマーラー9番の後に興奮していた自分をまったく同じ目で見ていた人も多分いるだろうし、本当にこれは好みの問題(笑)