2014/9/27
2014/9/28
NHK交響楽団 第1789回定期公演 Aプログラム
@NHKホール

モーツァルト:交響曲第41番「ジュピター」
チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」

管弦楽:NHK交響楽団
コンサートマスター:篠崎史紀
指揮:ヘルベルト・ブロムシュテット

N響とブロムシュテットによるモーツァルト&チャイコフスキーの後期三大交響曲シリーズの最終回を、2日連続で聴いた。

27日は午前中のゲネプロから見学。ゲネプロでも頻繁に止めてやり直させる指揮者もいるが、ブロムシュテットはついに両曲とも一度も止めず全曲演奏。(結果的に3度コンサートを聴いた形になった)特記すべき点といえば、「悲愴」の冒頭コントラバスや、1楽章展開部直前のBsClの表情付けの微調整、3週間の共同作業に対しての感謝をブロムシュテットがオケに述べたこと、くらいだろうか。
そうして迎えた一日目の本番は、N響史に残る超名演となった。ステージ上の白熱に加えて、真摯に音楽を聴こうという聴衆の姿勢が素晴らしく、楽章を追うごとに客席の空気が濃縮されていくような雰囲気さえあった。
そして、二日目の今日。他のオーケストラではたいてい1日目より2日目、2日目より3日目が良くなるのが常だが、N響の場合そうとは限らない(理由については触れずにおくが・・・)ので、大変興味深く会場へ赴いた。

蓋を開けてみれば、何とも複雑な結末に。一日目より高齢の方が多かったか、静寂を破る非常識なノイズが多発。特にビニール袋系の音が前半楽章で持続し、プロ中のプロたるN響も流石に動揺したのか集中が途切れる場面が。客席と演奏家が一体となり作り上げる演奏会の場にあって、一番あってはいけない状態となったのが残念でならない。よりによってブロムシュテットで、しかも初日の客席の集中度が奇跡的であっただけに痛恨の極み。ノイズの主はきっと自覚がないのだから、周りが注意するしかないのだが・・・。
ネガティヴな話はここまで。前半楽章でオケがブレたとはいえ、大変な高レヴェルである前提の話。第2楽章の繊細かつふくらみのある弦の音量コントロールは絶妙で、オーケストラが一つの有機体として呼吸する様は圧巻。そして3楽章では容赦ない管弦楽の行進、最後のマーチの直前のホルンのG-Fis-G-Fisではベルアップまでさせるなどブロムシュテットの「動」の側面が全開。3楽章の烈しい終結の後、アタッカで終楽章に入る指揮者も多いが、彼は十分に間を取り、全てを受け入れた万感の振りで冒頭の悲痛な旋律を奏でる。この楽章こそは3週間にわたるツィクルスの終着点であった。ティンパニの激烈な強打、咽びなく弦の濃い表情は前日以上。「変に粘らずともこの曲の意図はしっかり伝わる!」と言わんばかりにブロムシュテットは決然と、確実に曲の終わりへと歩みを進めてゆく。そして、数十秒に及ぶかという長い長い沈黙が会場を包む。奏者一同は微動だもしなかった。控え目に始まった拍手はやがて大喝采に。奏者は指揮者に最大限の賛辞を送り、また指揮者も楽員を讃え続ける。楽団と指揮者の、かくも幸せな関係が眼前に広がった。Cb奏者の女性から大きな赤い花束を受け取ったブロムシュテットは楽員が去った後も一人呼び出され、熱い賛辞を一手に浴びた。

付け足しのようで誠に失礼だが前半のジュピターも滅多に聴けない好演だった。(1日目からとても良かったが)あらゆる楽句に手触りの温かみがあり、それでいて各声部の交錯も鮮やかに聴こえてくるのに、全体の印象は全くの無為自然。何という高次元のモーツァルト演奏!

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