2015/4/17
NHK交響楽団 第1806回定期公演 Cプログラム
@NHKホール

ラフマニノフ:ヴォカリーズ
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番
~ソリスト・アンコール~
プロコフィエフ:ピアノ・ソナタ第2番より 第2楽章
リムスキー=コルサコフ:交響組曲「シェエラザード」

ピアノ:アンナ・ヴィニツカヤ
管弦楽:NHK交響楽団
コンサートマスター:篠崎史紀
指揮:ヴラディーミル・フェドセーエフ

フェドセーエフが無事来日してくれた、まずそれだけで本当に嬉しい。というのも、ついこの前の2月に重篤の報が飛び込んできて、一時は最悪の事態を覚悟したからだ。その後驚異的に回復し、今月初めにはモスクワで復帰演奏会を指揮したとか。

ロシアの名曲選といった趣だが、巨匠フェドセーエフならそれも味わい深く聴けるというもの。誰でも耳にしたある「ヴォカリーズ」の旋律も、愛撫するように繊細で上品に奏され、ああこんなにいい曲だったのかと認識を新たにさせられた。

続くラフマニノフの協奏曲でもフェドセーエフは気合十分、オケの編成は16型のまま。伴奏の域を超えた濃密な世界を広げた。ソリストのヴィニツカヤも硬質なタッチで、妥協しない指揮者とがっぷり四つに組んでかなり辛口のラフマニノフが展開された。アンコールのプロコフィエフも同系統。

メイン・プロのシェエラザード、これは自分から好んで聴く部類の曲ではあまり無いのだが、フェドセーエフ/N響の紡いだ響きは極上そのもの。冒頭は唸り声を伴って右手が振り下ろされたが、全体的にインティメイトな温かみが豪壮さを上回る。第2楽章の弦のPizz.の中にふわりと立ち現れるClやFgのソロの美しさも絶品。そして、何よりも強く印象付けられーと同時にドキリとしたのがー音楽全体を包み込む達観したような雰囲気なのである。楷書体で雄大な音楽作りとは言え、鳴らす箇所は不足なく鳴らしているし、「枯れた」とまではいかないと思うのだが、灰色・静謐といったこの曲に似つかわしくない形容詞ばかりが連想されるのだ。

フェドセーエフの指揮は病後とは思えぬほど覇気に満ちていたし、まだまだ大丈夫だと思うのだが・・・「白鳥の歌」、そんな言葉が脳裏によぎってしまった演奏であった。