2015/7/12
東京都交響楽団 プロムナードコンサートNo.364
@サントリーホール

リゲティ:ルーマニア協奏曲
ロドリーゴ:アランフェス協奏曲
~ソリスト・アンコール~
ローラン・ディアンス:タンゴ・アン・スカイ
ベートーヴェン:交響曲第7番

ギター:
朴葵姫
管弦楽:東京都交響楽団
コンサートマスター:山本友重
指揮:グスターボ・ヒメノ
 

都響プロムナード、今回は元コンセルトヘボウ管首席打楽器奏者のヒメノが登場。アーク・ノヴァの関連企画で東北に登場したはずだが、今回の都響が本格的な日本デビューとなる。今秋のコンセルトヘボウ管来日公演をも指揮するので、いわば前哨戦といったところか。

一曲目のリゲティは前衛ではなく、痛快な民俗舞曲が鮮やかに展開される。ヤンソンス/バイエルン放送響がアンコールとして好んで演奏する終曲以外はまともに聴くのは初めて。(ちなみに東響音楽監督のノットはこの作品を含むリゲティ選集をベルリン・フィルとライヴ収録している)
いささか破れ太鼓的なヤケクソ感もないではなかったが、都響の技術水準により高速パッセージも難なくクリア。第1ホルンと第3奏者によるナチュラルホルンの掛け合いはより朴訥な味わいが欲しかったが、オケの個性によるものか。山本さんのソロはフィドルを思わせる軽やかさでお見事。ヒメノはリズムこそ明解だが特に個性を出すでもない。

続くロドリーゴは人気ギタリスト・朴葵姫さんのソロ。オケとの音量差を考慮し卵型のスピーカーで増幅しての演奏だった。葵姫さんはCDを聴いているかのような安定度だし、オケも手堅く豊麗な音なのだが、いまひとつ主張に欠けたのはどうしてだったのだろう?アンコールでは独奏になり本領発揮、打楽器的な奏法も交えながらセンスあふれる演奏を聴かせてくれた。ギターVSオケの構図はやはり大ホールでの実演には向かない気がする。

ここまでヒメノの個性がまるで感じられなかったので、続くベートーヴェン7番に期待していたのだが、これは大変残念な結果に終わってしまった。
彼は前述した通り拍が非常に明解で、アンサンブルに必要な要素は概ね満たしている。かといってオケを追い込むタイプでもなく、木管陣を自由に解放したい意図は伝わってきた。
だが肝心の音楽がまったく空疎である。ベートーヴェン7番という曲はリズムで押してなんとかなってしまう側面があるが、彼の指揮はまさにそれの悪例で、リズム以外のこの曲の魅力が無視されてし表面的な演奏に終始している。否、リズム処理に関しても十全とは言い難い。第1楽章の主部などで、音楽が昂揚するのに比例してテンポが上がっていくのは良いのだが、それが演奏家の生理と一致していない。視覚的にそれは如実だった。結果として木管と弦の掛け合いで音価が不自然に詰まり、聴く側としてはつんのめるような不安定さを味わうことになる。
とはいえオケは演奏の水準を保たなければいけないわけで、表面的な破綻がなかったのは流石にプロの仕事。指揮者に寛容な都響としては終演後の反応は露骨で、指揮者を讃える動作が無いどころか、団員同士が苦い顔で話し合っていた。

ヒメノはもう呼ばれることはないだろう。今秋のコンセルトヘボウ管来日公演はどうなるのか、甚だ不安である。(自分はチケットを買っていないのだが・・・)