2015/7/19
東京都交響楽団 都響スペシャル「名曲の夏」
@サントリーホール

ヴァーグナー:楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」より 第1幕への前奏曲
チャイコフスキー:弦楽セレナード

スッペ:喜歌劇「軽騎兵」序曲
ボロディン:交響詩「中央アジアの草原にて」
リムスキー=コルサコフ:スペイン奇想曲
~アンコール~
チャイコフスキー:歌劇「エフゲニー・オネーギン」より ポロネーズ

管弦楽:東京都交響楽団
コンサートマスター:矢部達哉
指揮:小泉和裕

昨年はインバル指揮のマーラー・ツィクルス完結編として、交響曲第10番が演奏されて話題を呼んだ真夏の「都響スペシャル」。今年は趣向をガラリと変え、都響と絆の深い小泉さんによる名曲集だ。サントリーホールにて二日間、意外とナマでは聴けない名曲も含めた流麗なメロディが我々の耳を存分に愉しませる。

1日目は管弦楽名曲のオンパレードの中、チャイコフスキーの弦楽セレナードが全曲演奏。先日のA定期(カエターニ指揮)でも強く感じたことだが、都響ストリングスの強靭さは圧倒的である。音色の繊細な変化などでは東響が優れているが、中低音の量感は国内オケでは読響と双璧、アンサンブルだけで言えば在京トップの水準にあると断言できる。弦楽セレナードは小粋な小品で、優雅に奏される機会も多いのだが、都響にかかれば威容を誇る重厚な合奏曲と化す。ラザレフが振った日フィルの演奏でも轟々たる流れを感じたが、厚みという点では都響が更に一歩リードする。小泉さんの精悍にしてダイナミックな指向も一役買ったのだろう、カラヤン/BPhを彷彿とさせる重量感たっぷりの「弦セレ」だった。それでいて第3楽章の止まりそうなメランコリーにも事欠かない。
現実的なことを言えば14型でも充分だっただろうが、個人的にはこれ位大胆な演奏が聴きたかったので大満足。

その他の管弦楽名曲選も、改めて都響の高水準を印象付ける佳演揃い。小泉さんは全曲暗譜で、終始リラックスした指揮でオケの機能美を確かに引き出していた。
冒頭のマイスタージンガーはキリッと引き締まりつつ開放する所は存分に。ソリッドな金管群が出だしから好調だ。チャイコフスキーを挟んで後半第1曲、軽妙なトランペットが印象的な「軽騎兵」序曲では中盤の弦の魅力が新鮮、ただ鳴らすだけでは終わらない。続くボロディン「中央アジアの草原にて」は若干レアな曲。冷気をホールに運ぶような木管のソロが印象的で、熱気が冷めてしっとりとした味わい。〆に置かれたリムスキー=コルサコフ「スペイン奇想曲」はサーヴィス気味に賑やかでカラリとした音作り、矢部さんのVnソロをはじめハープ、クラリネットなど見せ場もたっぷり。小泉さんの指揮は茶目っ気こそ控えめながら盛大に盛り上げて大団円。

小泉さんが「暑い夏を乗り切りましょう!」と軽くスピーチを打ち、ほんわかしたムードの中デザートにしてはかなり重厚なオネーギンの「ポロネーズ」が開始。これが茶目っ気たっぷり、痛快な演奏だった。普段滅多に両足が接地面から動かない小泉さんが、まさかの客席を向いてドヤ顔(!)をしながら指揮台上を歩いたのだ。ポロネーズ特有の強拍をこれでもかと強調するなど、オケも遊び心あり。弦のトップ奏者は殆どお尻が宙に浮いていた。

かくも楽しく、贅沢な名曲選は翌日に続く。演目が全て異なるというのも興味が尽きないところだ。猛暑を吹き飛ばす快演となりますように!