2015/7/25
フェスタサマーミューザ KAWASAKI 2015
東京交響楽団 オープニングコンサート
@ミューザ川崎シンフォニーホール

ショパン:ピアノ協奏曲第1番
マーラー:交響曲第1番「巨人」

ピアノ:横山幸雄
管弦楽:東京交響楽団
コンサートマスター:グレブ・ニキティン
指揮:飯森範親

クラシック界における「夏フェス」の先陣を先陣を切り、フェスタサマーミューザが今年も開幕した。
(早々に宣伝で恐縮ながら・・・フェスタ期間中、昨年の好評を受け今年も発行となった『ほぼ日刊サマーミューザ(←特設ページに飛びます)』の一コーナーとして、拙文を連載させて頂いております。もしかすると既に紙面上のURLからご来訪なさった方もおいでかもしれませんが、何卒よろしくお願い申し上げます)

オープニングコンサートで演奏するのは勿論レジデント・オケたる東京交響楽団で、大曲「巨人」を引っ提げて登場という、堂々の本格派コンサートである。指揮の飯森さんは過去に東響とマーラーの交響曲演奏に取り組んできており、クック補完版の10番もここミューザで響かせたとのこと。私自身、この組み合わせによる「巨人」を数年前の定期演奏会で聴いたことがある。

サマーミューザ恒例&好評イヴェントのひとつである公開リハーサルから見学。プログラム通りショパン→マーラーの順だが、途中15分の休憩を入れマーラーはほんの少しのみの演奏となった。オーケストラに負担がかかる曲ゆえ、最小限の確認のみに留めたのはひとつの見識かもしれない。尤も、飯森さんがステージ上から「マーラーは本番のお楽しみ」と言ってしまったために「マーラーは公開しないんだ」とホールを出られた方も少なくなかったようだが・・・。
ショパンでは全曲通しながら、第3楽章でオケに細やかなテンポ変化を指示。横山さんは自然体で、「どんな客層かなー」とでも言いたげな様子でリラックスしながら演奏していた。

そして本番。去年のオープニング&フィナーレの東響は指揮者ともに白スーツで統一だった気がするが、今回は普通の黒スーツ。飯森さんも燕尾服で登場した。
前半ショパンではリハーサルの最後で飯森さんが指示した点が浸透しており、オケ単独の箇所ではマエストーソになりすぎず、適度な推進力を得て筋肉質な響きが形作られていた。横山さんは十八番の曲を軽やかに弾きこなし、飯森さんが仕掛けるテンポ変化にも余裕で返答する。一瞬ごとに最適なニュアンスを何の躊躇いもなく提示していくという高度な演奏で、個性よりはピアニストのブリリアンスを強く感じた。こういうレヴェルの演奏をサラッと成し遂げてしまうのは凄い。

後半のマーラーは14-14-10-10-8(目測のため誤りがあったら是非ご教示ください!) という変則16型による演奏。1stと2ndのヴァイオリンが同数なのは、コントラバスが下手側・対向配置という工夫を最大限に活かし、対等に主張させるためと見たが―果たしてどうだろう。
暗譜で指揮する飯森さんはオケを丁寧にリードしていくが、時折弦楽器に出される粘り気のある歌い方が特徴的。全体の構築を意識した上で揺らすというよりは、細部を徹底して曲を構成していくような印象を受けた。第2楽章のトリオや第4楽章第2主題がその筆頭で、ユダヤ的と呼んでもいい。スダーン時代に鍛え抜かれたアンサンブルに加え、ノットの持つロマン的感覚を得て進化を続ける東響の演奏は破綻なく立派なもの。本拠地ミューザの強みもあるのだろう、強奏時も伸びやかさを常に失わないのは見事だ。立奏する8本のホルン、ベルアップする木管群の視覚効果もバッチリと決まり、手応えある「巨人」だったと思う。第2ヴァイオリン全体のノリの良さは、先述した対向配置の意図を汲んでのものだろうか。そうだとすればオケの自発性に天晴れである。

サマーミューザの幕はまだ上がったばかり。これから首都圏オケの真剣勝負をはじめ、様々な音楽イヴェントがミューザ川崎を中心に行われるお祭りが続く。楽しみだ。

「ほぼ日刊サマーミューザ」上のレヴューはこちら。(7/30追記)