2015/9/21
読売日本交響楽団 第82回みなとみらいホリデー名曲シリーズ
@横浜みなとみらいホール

リャードフ:魔法にかけられた湖
モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第5番「トルコ風」
チャイコフスキー:交響曲第4番
~アンコール~
チャイコフスキー:弦楽のためのエレジー(イヴァン・サマーリンの思い出)

ヴァイオリン:諏訪内晶子
管弦楽:読売日本交響楽団
コンサートマスター:小森谷巧
指揮:尾高忠明

サマーミューザでの素晴らしい「第5」が記憶に新しい尾高さん、今度は読響で「第4」を指揮。読響はこのプログラムで埼玉の2会場をも周るので、4回公演ということになる。このみなとみらいは2公演目。
尾高さんのチャイコフスキーは楷書体、しかしブロムシュテットがN響で振ったそれのような厳格さとは異なり、随所で自由にオーケストラを解放するので堅苦しさとは無縁だ。フォルムとパッションの見事なバランスは日本、いや世界随一の安定感ではないだろうか。

一曲目のリャードフはよくコンサートの幕開けに置かれる曲、タイトルの雰囲気そのままの音楽だ。特に起伏が設けられるでもなく、細部まで描きこまれたスケールの大きな絵画をじっくりと眺めるような感がある。尾高さんはやはりノンタクト、しなやかに各セクションを導いた。

続くモーツァルトの協奏曲では編成を減らし、清楚な響きを紡ぐ。ピリオド志向とは無縁だが、じゅうぶんに快活で聴きやすく、違和感は皆無。(最近、こういうスタイルの違いを超えたモーツァルト演奏が増えているような気がする)第3楽章のトルコ行進曲も聴きごたえがある。
独奏は人気の諏訪内晶子さん、安定した美音が心地良いのは間違いないのだが、随分と色香が濃い演奏だ。モーツァルトを聴いていることを一瞬忘れてしまうほどの妖艶さ。ちょっとしたグリッサンドなどにそれを強く感じたのだが、考えすぎだろうか。嫌いではないけれども・・・。
 
後半のチャイコフスキー、予想通り安定度抜群のサウンドと解釈。冒頭をはじめ存分に咆哮したホルンセクションは見事、それに比してトランペットの一番は音程・音色ともに大いに違和感がありミスも散見されたのは少し残念だ。弦楽器の密度、音色の剛毅さは読響ならでは。尾高さんのちょっとした揺らしに即座に反応して悲歌をたっぷりと聴かせてくれた。第4楽章のどっしりとした構築は最後までブレず、王道の終結で会場は沸く。
アンコールで聴くことができたエレジー、決してマイナー曲ではないがなかなか実演では接する機会が少ない曲。「ニムロッド」「アンダンテ・フェスティーヴォ」といい、尾高さんがアンコールで取り上げる小品は絶品である。今回も当然素晴らしい余韻に終わった。