2015/9/23
NTT DATA CONCERT OF CONCERTS Opus20
@サントリーホール

ショスタコーヴィチ:祝典序曲
ベートーヴェン:交響曲第7番
ブラームス:交響曲第1番
~アンコール~
ドヴォルジャーク:スラヴ舞曲第8番

管弦楽:ジャパン・ヴィルトゥオーゾ・シンフォニー・オーケストラ
コンサートマスター:
指揮:トーマス・ザンデルリング


作曲家・三枝成彰氏と指揮者・大友直人氏が共同でプロデュースする「ジャパン・ヴィルトゥオーゾ・シンフォニー・オーケストラ」(JVSO)。意味もないカタカナ言葉は大嫌いなのだが、ともかくこの団体を初めて聴かせて頂くことができた。

「ヴィルトゥオーゾ」の名の通り、在京オケをはじめとするトップ奏者陣がずらり。ソリストとして活躍している方も何人か参加されていた。コンマスはNJPの崔文洙さん。

ベートーヴェン、ブラームスのシンフォニーを並べるというちょっと重めの(来日公演みたいな)プログラムの中で唐突な印象を与えるショスタコーヴィチだが、祝祭オケの景気づけ的な意味合いだろうか。音楽一家ザンデルリング家の長男・トーマスはもう70を超え、十分に円熟期に入っている指揮者。風貌とどっしりした恰幅が父クルトそっくりだが、面白いことに音楽までそっくり。ほとんど軽快な印象を与えない「祝典序曲」の運びを聴いて、親父さんがベルリン響と録った一連のショスタコーヴィチを思い出していた。

前半のベートーヴェン7番、後半のブラームス1番も見事なまでに予想通り、悠然とした構えを持った決して煽らない音楽づくり。しかも目の前で振っている姿も決して流麗とは言えず、どちらかといえば武骨な部類に入るから本当にクルトを生で聴いているかのよう!と散々書いているが、演奏がもたれたという意味では決してない。寧ろ、常設オケではないこのJVSOには最適な人選ではないか。トーマスの指揮は細部を彫琢するというよりは息の長い歌の中に各々の奏者を溶け込ませるようで、ストレスの少ないものだった。それゆえ前後半ともにオーケストラは思う存分歌いこんでいたし、目立った疵も聴かれなかった。
ベートーヴェンでは若干の硬さが各セクション見られ、冒頭のトゥッティも勢いと弓圧はあるものの統一された響きには遠かった。終楽章で弦5部が次々と掛け合う箇所もかなり混濁していたし(低弦のオスティナートの威力は圧倒的だったが)、必ずしもベストな演奏ではなかったと思う。だが、後半のブラームスではオーケストラとしての一体感が格段に上がり、響きのフォーカスがピタリとあってこれぞドイツ!という上質なサウンドが立ち上がる。かつてピッツバーグ響首席を務めたナサニエル・ローゼンと東響の西谷さんがトップを務めたチェロセクションの気合いと雄弁さは特筆もの。第4楽章のトロンボーンのコラールも素晴らしく、顔ぶれを見ればN響新田さん、SKOでよく見かける呉さん、都響の野々下さんとまったく納得。終盤もやはり加速することなく、寧ろテンポに加え響きの重心をさらに落とすかのようにして堂々のフィナーレを迎えた。

基本的に招待客で埋められるこのコンサートの客席は思ったよりもずっとマナーが良く、最後の余韻だけは少しもったいなかったが演奏中は極めて静かだった。鳴りやまぬ拍手に応えた「スラヴ舞曲」も豪快無比な演奏。なんだか80年代にタイムスリップしたような懐かしい至芸に酔った一夜だった。(あ、80年代生まれてないか・・・)