2015/10/10 リントゥ/新日フィル シベリウス2015/10/11 堤剛、練木繁夫 ベートーヴェン、ドビュッシー、R. シュトラウス

October 11, 2015

2015/10/11 小泉和裕/都響 ロシア特集

2015/10/11
東京都交響楽団 「作曲家の肖像」シリーズ Vol.105 《ロシア》
@東京芸術劇場

カバレフスキー:歌劇「コラ・ブルニョン」序曲
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番
~ソリスト・アンコール~
ショパン:練習曲作品10-12(革命のエチュード)

グラズノフ:バレエ音楽「四季」より 秋
ボロディン:歌劇「イーゴリ公」より 序曲、ポロヴェッツ人の踊り

ピアノ:アレクサンダー・ロマノフスキー
管弦楽:東京都交響楽団
コンサートマスター:山本友重
指揮:小泉和裕


7月の都響スペシャル「名曲の夏」で素晴らしい小品集を聴かせてくれた小泉さん×都響。今や固い絆で結ばれたこのコンビ、何を聴いても微動だにしない安定感を誇っている。今回の肖像シリーズは夏のスペシャルの続編(おかわりとも言う)のようなロシア名曲集、カバレフスキーやグラズノフなど少しスパイスを利かせてあるのもまた心憎い。

全プログラム16型のオーケストラは芸劇をこれでもかと華やかに鳴らすが、少しも煩さは感じない。冒頭のカバレフスキーから小泉さん共々よく力が抜けて大胆かつ流麗な響きだ。
圧巻だったのは名手ロマノフスキーを迎えたピアノ協奏曲第2番。ただでさえ分厚いオーケストラがソリストに襲い掛かるこの難曲、流石に16型というのは厳しすぎるだろうと思っていたのだが、それどころかほとんど実演のハンデを感じさせなかったロマノフスキーは只者じゃない。冒頭の左手の低音から尋常なく深い、バス歌手のようなゴーンという音。硬質で強靭なタッチから生まれる音楽はまさに王道のラフマニノフ。小泉さんとオーケストラは弛緩せず前へと進んでいき、それに呼応するか先回りするように自らテンポに揺さぶりをかけていくのが特徴的だった。これほど素晴らしいラフマニノフ2番は今年のヴィニツカヤ×フェドセーエフ以来で、ホールが好い分こちらに軍配が上がる。この曲の実演としては最高の演奏に数えられる。アンコールの革命のエチュードではロマノフスキーの独壇場とばかりにバリバリと弾き進むが、全曲を支配するリリシズムが彼の雰囲気と合っていた。

後半のグラズノフ、ボロディンは洗練されつつもお祭り騒ぎ。カラヤンの影響が濃い小泉さんはほんとうに小品での適切なエネルギーの開放、こけおどし的にならない格調高いクライマックスの形成に長けている。
「四季」の秋では快活な収穫の喜びとしっとりした旋律が交差。続くボロディンの序曲はグラズノフとリムスキー=コルサコフの補筆によるもの(ここでプログラムに連関が生まれる)で、珍しい曲ながら手堅い仕上がり。続くお待ちかねの「ポロヴェッツ人の踊り」、広田さんのオーボエの絶美はじめ都響各セクションがソロ、トゥッティと見せ場を連発。クライマックスにかけて指揮者・オケともトルクをぐいと上げ堂々たるフィニッシュ。

豊麗なオーケストラ名曲を五感で楽しんだ充実感あるマチネだった。深遠なメッセージ性ある名曲も良いが、休日の午後に聴くコンサートとしてはこういう華やかな演目を上質な仕上がりで聴くのがいちばん好きだ。

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takupon68 at 17:00│Comments(0)TrackBack(0)公演評 

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