2015/10/11 堤剛、練木繁夫 ベートーヴェン、ドビュッシー、R. シュトラウス2015/10/13 下野竜也/読響 ベートーヴェン、ヒンデミット、ジョン・アダムズ

October 12, 2015

2015/10/12 坂入健司郎/ARCチェンバーオケ バーバー、モーツァルト、ブラームス

2015/10/12
ARCチェンバーオーケストラ 第14回定期演奏会
@三鷹市芸術文化センター 風のホール

バーバー:弦楽のためのアダージョ
モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第3番
ブラームス:交響曲第2番

ヴァイオリン:尾池亜美
管弦楽:ARCチェンバーオーケストラ
指揮:坂入健司郎

 
8月のベートーヴェン・ツィクルス第2弾は聴けなかったので、坂入さんの指揮する音楽を聴くのは4月の第一生命ホール以来。今回はユヴェントス・フィルではなく、学芸大OBを中心に結成されたARCチェンバーオケ。
三鷹の風のホールは2回目だと思う。相変わらず木のふっくらした残響が美しく、贅沢なホールだ。駅からアクセスが悪いのは少々不便だが・・・。

一曲目のバーバーが始まってすぐ、五弦がズンと鳴る瞬間から「おっ」と思わせる。音程の心配はほとんどなく、音楽に安心して入っていけるクオリティだ。坂入さんは丁寧なリードで各セクションを導き内声の抉りも深い。曲が悲痛に昂まると左手を小刻みに震わせ、オケ全体を引きつける。良好なスタートだった。

続いては尾池亜美さんをソロに迎えてのモーツァルト、8月のベートーヴェンでも共演されていた方だ。小編成のオケでも十分かあるいは響き過ぎるくらいによく鳴るホールだが、ソロは明快に浮かび上がる。尾池さんはモヤモヤせず凛とした歌い回しで魅力的、オケ共々冒頭2音目のGに重みを置いてリズム感を際立たせ心地よい。坂入さんの指揮は一層闊達さを強め、編成以上の豊麗さと愉悦感を感じさせた。しっかり低音を鳴らして骨組みを形作るのも気持ちがいい。

後半はブラームス2番、プロオーケストラでもなかなか満足いく演奏に出会うことはないこの曲。そもそもブラームスの交響曲で快哉を叫びたくなるような実演に出会うことは、特に2番と3番では難しいのだが―坂入さんとARCチェンバーはなかなか健闘していたのではないかしら。冒頭の低弦がゆっくり動き出した後のホルン群は残念で、その後も安定はしなかったが、その他の管楽器は概ね形になっており音楽の進行には支障ない。特にオーボエはモーツァルトから引き続き見事だった。弦もバーバーで見せた好調を維持し、第1楽章でザクザク弾き進むかと思えばコーダではホルンや木管共々柔らかさと懐を深めていく。終楽章では坂入さんの煽りにきっちり応え、室内オケであることを忘れさせるようなスケール豊かな熱演が繰り広げられた。これだけ聴かせてくれるとは思っていなかった!

風のホールの豊麗な音響も助けにはなったのだろうが、それ以上にオーケストラのポテンシャルと坂入さんの丁寧な音楽作りを堪能した演奏会だった。次はいよいよユヴェントスで、1月のブルックナー8番。年初から期待が大きい。


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takupon68 at 22:49│Comments(0)TrackBack(0)公演評 

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2015/10/11 堤剛、練木繁夫 ベートーヴェン、ドビュッシー、R. シュトラウス2015/10/13 下野竜也/読響 ベートーヴェン、ヒンデミット、ジョン・アダムズ