2016/1/22
新日本フィルハーモニー交響楽団 第552回定期演奏会
@すみだトリフォニーホール

シベリウス:組曲「レンミンカイネン」
ニールセン:交響曲第5番

イングリッシュホルン:森明子
管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団
コンサートマスター:崔文洙
指揮:トーマス・ダウスゴー


新日本フィルの1月定期はハーディング、ダウスゴーで濃いプログラム。ダウスゴーは今回とサントリーの2プログラムなので、NJPはひと月に3回も定期演奏会をやることになっている。オーケストラは大変だろう。

シベリウス「レンミンカイネン」は冒頭から北欧の静けさ漂う音色。作曲家の隠れた8つ目の交響曲とでも言うべき傑作を雄弁に聴かせてくれた。以前聴いたインキネン/日フィルのような懐深い響きというよりは、全体的に筋肉質な構築。イングリッシュ・ホルンが歌う「トゥオネラ」も伸びやかだが停滞しない。ソロの森さんお見事!輝かしい「帰郷」ではブラスの縦がバシッと合う気持ちよさ。勇壮な締め括りでは一度トゥッティで叩きつけてからsubitoで落とし、すぐに膨らみを取り戻す手法が見事に決まった。弦のまとまり、オケ全体のピッチはやや気になったが好演。

休憩後はニールセン「第5番」。巨大な肯定へと力強く進む第4番「不滅」とは対照的に、作曲家の苦悩を追体験する思索の旅のような作品だ。第1楽章で強弱のニュアンス、演奏位置を変えて頻繁に現れるスネアドラムの主張からもそれを窺い知ることが出来る。(今回のスネアはなかなか見事だった)
ダウスゴーは殊更深刻ぶることはなく、ダイナミックに音楽を波打たせた。どちらかといえば、前回新日本フィルに客演した時に振ったという「不滅」向きのアプローチだが、第2楽章では目が覚めるような迫力をもたらしていた。大きくバネのように体を使い、雄弁に率いる名船頭はオーケストラをも奮い立たせた。軍楽隊の乱入の遠近感、薄明から朗々とした語りまで使い分けるヴィオラの存在感など、曲中要素の有機的連関も存分に感じられた。初日ゆえか合奏精度は前半に引き続き問題があったが、ダウスゴーの音楽はやはり格別である。

余談になるが、前半の弱奏箇所で一箇所から忙しなく咳き込む音が聞こえてきて感興を削がれてしまった。生理現象には基本的に拘泥しないつもりだが、今回は悪質なので別だ。全くハンカチなどで音を減衰させる気もなく、歌舞伎の見得のような異様な咳をあたりに振りまいていた。文字化すると「えぇっへん!えぇっへん!」という感じ。