2016/3/9
新国立劇場 リヒャルト・シュトラウス「サロメ」
@新国立劇場 オペラパレス

R. シュトラウス:楽劇「サロメ」(全1幕/ドイツ語上演/字幕付)

演出:アウグスト・エファーディング
サロメ:カミッラ・ニールント(ソプラノ)
ヘロデ:クリスティアン・フランツ(テノール)
ヘロディアス:ハンナ・シュヴァルツ(アルト)
ヨハナーン:グリア・グリムスレイ(バス・バリトン)
ナラボート:望月哲也(テノール)
ヘロディアスの小姓:加納悦子(メゾ・ソプラノ)
5人のユダヤ人1:中嶋克彦(テノール)
5人のユダヤ人2:糸賀修平(テノール)
5人のユダヤ人3:児玉和弘(テノール)
5人のユダヤ人4:青地英幸(テノール)
5人のユダヤ人5:畠山茂(バス・バリトン)
2人のナザレ人1:北川辰彦(バス・バリトン)
2人のナザレ人2:秋谷直之(テノール)
2人の兵士1:大塚博章(バス)
2人の兵士2:伊藤貴之(バス)
カッパドキア人:大沼徹(バス・バリトン)
管弦楽:東京交響楽団
指揮:ダン・エッティンガー 

演出・歌・オケと全て揃った圧倒的な上演に興奮が止まらない!ニールントの表題役は可憐さの中に悪女感が見え隠れ、歌に狂気が満ちてくる後半では我の強さに圧倒された。彼女の踊りはちょっと現実に戻されてしまったけれども、仕方ないか(笑)グリムスレイのヨハナーンは芯の図太いバスバリ、その威厳は預言者に相応しい。
クリスティアン・フランツとハンナ・シュヴァルツという豪華布陣によるヘロデ夫妻もまた凄い。特にヘロデはこれ以上の歌は聴けるのかと思うほどで、ヘロディアスも即興風の演技含め役を完全にモノにしている。序盤で魅せた望月さんのナラボート、加納さんの小姓も手堅さ以上。このお二人のポジションは重要で、自分にちっともサロメが振り向いてくれないことに絶望してナラボートは自害するが、その遺体は無造作に放り出されたまま。彼の死を悲しみ、後々の復讐の念に発展させるのは小姓だけなのだ。

ピットのエッティンガー/東響は驚くほどの水準。各モティーフの鮮やかな処理、分厚くうねる雄弁な弦と空気感を支配する木管群の素晴らしさは筆舌に尽くし難い。ヘロデの「この母にしてこの娘だ!」という悲嘆に続くホルン群の狂ったような咆哮、コントラバスの高いB音などでは空気が凍りついた。 かつてそのもとで学んだバレンボイムを思わせる濃厚な筆致は、エッティンガーが生粋のオペラ指揮者であることを強く印象付けた。これだけの水準の歌手が歌っているから、オーケストラがお構いなしに鳴らせるというのもあるだろうけれど。