2016/3/12
51年目の都響―2016年度楽季 聴きどころ
@東京文化会館 4階大会議室

講師:国塩哲紀氏(東京都交響楽団 芸術主幹)

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2016/4/7 第804回 B定期
シューベルト(ウェーベルン編曲):ドイツ舞曲 D820
R.シュトラウス:メタモルフォーゼン~23の独奏弦楽器のための習作
ベートーヴェン:交響曲第3番 変ホ長調 op.55《英雄》

指揮:フランソワ=グザヴィエ・ロト

2014年12月にN響「第9」、2015年6月に読響と在京各オケに登場したロトが都響の打診に応じて初客演。最初に声をかけたのは2012年だったが、多忙で今年ようやく実現の運びとなった。明快にして理知的な人柄が音楽表現にもそのまま表れている。
ベートーヴェン「英雄」第2楽章の引用があるメタモルフォーゼンと「英雄」の組み合わせは誰でも思いつくこと(近年も新日本フィルがやっている)だが、弦楽器の負担が非常に大きくなる。ロトと掘り下げることで都響にとっても財産となってほしい。シューベルトのドイツ舞曲はウェーベルンの編曲だが、音色旋律のような仕掛けもなくシンプルな作品。ロト曰く、「ドイツ・オーストリアの系譜を俯瞰するプログラム。リヒャルト・シュトラウスは過去、ベートーヴェンは未来を見て作曲をした」


2016/4/12 第805回 A定期 
ストラヴィンスキー:バレエ音楽《ペトルーシュカ》(1911年版)
ストラヴィンスキー:バレエ音楽《火の鳥》(1910年版) 

指揮:フランソワ=グザヴィエ・ロト

作曲当時の楽器を使用して演奏するオーケストラ「レ・シエクル」との名盤も残すストラヴィンスキー・プロ。
ロトは基本的に原典版への拘りがあり、作曲家のオリジナルな考えに迫りたいとの考え。今回取り上げる「火の鳥」1910年版は4管編成でバンダも入る大掛かりな編成。9年後の1919年版は2管編成、1945年版はストラヴィンスキーが新古典主義に傾倒した頃の改訂で、油っ気が抜けている。
参考音源:ロト/レ・シエクルの「春の祭典」 

2016/4/30 第806回 C定期
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番 ト長調 op.58
ブラームス:交響曲第1番 ハ短調 op.68

指揮:小泉和裕
ピアノ:ミシェル・ダルベルト

C定期の第1回となるプログラム。C定期はABとはやや異なり、比較的オーソドックスな演目を予定。勿論必要に応じて挑戦的なものも入れていく。小泉和裕の都響デビュー40周年記念公演の一つ(もう一つは11月のプロムナード)で、都響デビューで振ったベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番が入っている。
参考音源:ダルベルトの「スーパーピアノレッスン~ロマン派を弾く」 


2016/5/18 第807回 B定期 
ペルト :フラトレス~弦楽オーケストラとパーカッションのための(1977/91)
ペルト:交響曲第3番(1971)
ライヒ :デュエット~2つの独奏ヴァイオリンと弦楽オーケストラのための(1993)
ライヒ:フォー・セクションズ(1987)(日本初演)

指揮:クリスチャン・ヤルヴィ
 

ペルト&ライヒというミニマル・ミュージック(彼らはそう呼ばれるのを好まない、パイオニアというのはそういうもの)プログラム。二人とも80歳で、ジャンルを超えて絶大な人気がある作曲家。ミニマルは、聴く側は楽しいがオーケストラではなかなか演奏されない。同じ楽想を引き続けるのは、演奏者に集中力・持続力を絶えず要求するので負担が大きいから。リハーサルはきっと緊迫したものになるだろう。
元々はライヒ「砂漠の音楽(The Desert Music)」を提案したが、クリスチャンに「あの曲は慣れないオケが3日程度練習して出来る代物ではない」と諭され(笑)、このようなプログラムに落ち着いた。ちなみに、5月は親父さんのネーメも日本にいる。
参考音源:K. ヤルヴィ指揮のライヒ「デュエット」


2016/5/22 No.368 プロムナード 
シベリウス:《カレリア》組曲 op.11
メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 op.64
ラフマニノフ:交響的舞曲 op.45

指揮:クリスチャン・ヤルヴィ
ヴァイオリン:ヴィルデ・フラング

既にクリスチャンが大阪フィル客演時には振っている「交響的舞曲」を都響でも。第1楽章の甘いサクソフォーン・ソロを吹くのは若き名手・上野耕平。5/1のベルリン・フィルヨーロッパ・コンサート(今年はノルウェー)でメンデルスゾーンの協奏曲を弾くヴィルデ・フラングが、その経験を都響に持ってきてくれる。


2016/5/30 第808回 A定期
ヒンデミット:金管と弦楽のための協奏音楽 op.50
モーツァルト:ピアノ協奏曲第24番 ハ短調 K.491
R.シュトラウス:歌劇『ばらの騎士』組曲

指揮:秋山和慶
ピアノ:エリック・ル・サージュ

2014年1月の「源流」シリーズで久々に定期カムバックを果たした秋山和慶、今度はオーソドックスな曲目で再共演。彼が普通の演目で都響を振るのは1991年朝比奈隆の代役としてお引き受け頂いて以来(長らく東響シェフの任にあったので、および出来なかった)。この前週、 オペラシティのコンポージアム(一柳慧特集)も振るので、「アキヤマ・ウィーク」といった趣。ル・サージュとの協奏曲では、錚々たるソリスト達から指名を受けてきた秋山さんの技を堪能頂きたい。
余談。秋山さんはサイトウ・キネン・オーケストラのベルリン公演でR. シュトラウス「ティル」を指揮、国塩さん曰くあまりに見事だったのこと。SKO発足のきっかけとなった斎藤秀雄メモリアル・コンサートでのシューマン「ライン」も素晴らしく、「秋山和慶あらずしてサイトウ・キネンなし」だそうだ。


2016/6/8 第809回 A定期

2016/6/9 第810回 B定期 
ブリテン:歌劇『ピーター・グライムズ』より「4つの海の間奏曲」op.33a
ブリテン:イリュミナシオン op.18
ドビュッシー:《夜想曲》より「雲」「祭」
スクリャービン:法悦の詩 op.54 (交響曲第4番)

指揮:大野和士
テノール:イアン・ボストリッジ

今シーズン最初の大野音楽監督。大野監督はサイクル、シリーズといった構成はしないが、これまで取り上げた作曲家の関連を見ると、自ずから流れが見えてくると思う。そこにオペラのレパートリーもいずれ加えていきたい。演奏家・聴衆の双方に意味あるものを取り上げたい。
ブリテン、ドビュッシー、スクリャービンに共通するのは「輝ける精神」。ブリテン「ピーター・グライムズ」は大野監督も得意とするオペラ。イリュミナシオンの独唱を歌うボストリッジは現代屈指のテノールで、テクストの背後の意味に迫る歌唱が特徴的。朗々と歌うよりは歌曲などの深遠な表現で強みを発揮する。作曲家の内面に迫るという点で大野監督とも通じ、両者は2014年リヨンにて同じブリテンの「セレナード」で共演している。詳しくはぶらあぼ3月号のインタビューに掲載。
スクリャービンはオーケストレーションでマーラーの影響を受けている。大野監督のある種「イッちゃった」指揮に期待。幻想的な表情は「イリュミナシオン」とも通ずるものがある。
参考音源:ボストリッジ(テノール)、ハーディング/ロンドン響によるブリテン「イリュミナシオン」


2016/6/15 第811回 C定期 
モーツァルト:歌劇『後宮からの誘拐』序曲 K.384
サン=サーンス:ピアノ協奏曲第5番 ヘ長調 op.103 《エジプト風》
リムスキー=コルサコフ:交響組曲《シェヘラザード》 op.35

指揮:大野和士
ピアノ:小山実稚恵

平日マチネの第1回。色々なご意見を頂いたが、幸いなことに会員申し込みは肖像時代を上回っている。どこのオーケストラも申し合わせたように平日マチネを導入しているが、これは偶然。業界全体が新たな市場開拓を必要としているということ。曲目については言わずもがなという感じ、異国情緒溢れる名作揃い。


2016/7/18 No.369 プロムナード
ヒナステラ:バレエ組曲《エスタンシア》 op.8a
ファジル・サイ:アルトサクソフォンと管弦楽のための《バラード》op.67(2016)(世界初演)
ピアソラ:タンガーゾ(ブエノスアイレス変奏曲)(1969)
ラヴェル:ラ・ヴァルス

指揮:ミゲル・ハース=ベドヤ
サクソフォン:須川展也


須川展也によるファジル・サイの新作初演だが、話は両者の2年前のオペラシティのリサイタルに遡る。演奏会の際お二人に協奏曲の提案をしてWin-Winな条件が揃い、今回のプロムナードで初演の運びとなった。つい先日コンチェルトは完成(初演の3ヶ月以上前に作品が完成するとはなんとも素晴らしい、作曲家の鑑だ」とは国塩さんの談)。指揮のハース=ベドヤは南米音楽の普及に熱心で、ヒナステラ、ピアソラはどちらも記念イヤー。ラ・ヴァルスはマエストロの希望。中央ヨーロッパの作品があまりなく、クラシックの周縁地域の名作を集めたプログラムとなった。トルコ・南米の作曲家、ペルーの指揮者、日本の奏者と国際色豊か。
参考音源:ドゥダメル/SBYOによるヒナステラ「エスタンシア」ファジル・サイの自作自演「Kumru」


2016/7/24 都響スペシャル
2016/7/25 第812回 B定期 
モーツァルト:交響曲第25番 ト短調 K.183(173dB)
マーラー:交響曲第5番 嬰ハ短調
 

指揮:アラン・ギルバート

ベートーヴェン7番の熱演をはじめ、4年ぶりの客演も記憶に新しいアラン・ギルバート。3度目の客演はモーツァルト&マーラー。ベートーヴェン同様、こういった重要な作曲家は信頼できるマエストロと演奏を重ねていきたい。 


2016/9/10 第813回 C定期 
エルガー:チェロ協奏曲 ホ短調 op.85
シューベルト:交響曲第8番 ハ長調 D944 《ザ・グレート》

指揮:エリアフ・インバル
チェロ:ターニャ・テツラフ

インバル80歳と同時に、都響デビュー25周年を記念する9月定期の第1弾。インバルは1991年9月に都響初登壇なので、まさに丁度25年。ブルックナー、マーラー、ショスタコーヴィチがインバル×都響のメイン・レパートリーであることは変わりないが、聴き慣れた名曲をインバルの厳しい指揮(!)でやり直すこともしていきたい。今が旬のターニャはパーヴォ/ドイツ・カンマーフィルでも活躍中。エルガーは彼女の希望。「ザ・グレート」は都響側から打診。シューベルトの歌はマーラーにも通ずるので、インバルならではの演奏になるのでは。


2016/9/15 第814回 A定期 
グリンカ:歌劇『ルスランとリュドミラ』序曲
プロコフィエフ:ピアノ協奏曲 第2番 ト短調 op.16
バルトーク:管弦楽のための協奏曲 Sz.116

指揮:エリアフ・インバル
ピアノ:アンナ・ヴィニツカヤ

インバルの希望によりメインはバルトーク「管弦楽のための協奏曲」。プロコフィエフの協奏曲はヴィニツカヤが得意とするところ(CDもある)、インバルと彼女はベルリン・コンツェルトハウス管でこの曲を既に演奏しており、息の合った演奏を聴かせてくれるはず。一曲目「ルスランとリュドミラ」もインバルの提案で、ムラヴィンスキーのような超高速とは違うだろうがかなり面白くなりそう。


2016/9/20 第815回 B定期
モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第3番 ト長調 K.216
ショスタコーヴィチ:交響曲第8番 ハ短調 op.65


指揮:エリアフ・インバル
ヴァイオリン:オーギュスタン・デュメイ


インバル×都響のメイン・レパートリーの一つであるショスタコーヴィチ。第7番と並ぶ戦争交響曲である第8番はスペクタクル的ではなく、終結などは明るいのか暗いのか分からない不気味な音楽。独特な味わいがある。第8番をインバル×都響で取り上げるのは初めて。前半はデュメイとモーツァルトがやりたい、というインバルの希望が実現した形。デュメイは関西フィル音楽監督でもあり、うまく来日時期を合わせられた。


2016/9/25 No.370 プロムナード
モーツァルト:交響曲第29番 イ長調 K.201(186a)
モーツァルト:2台のピアノのための協奏曲 変ホ長調 K.365(316a)
モーツァルト:ピアノ協奏曲第23番 イ長調 K.488

指揮&ピアノ:ロバート・レヴィン
ピアノ:ヤーフェイ・チャン

2014年11月の肖像シリーズで故ホグウッドの代役として登壇して以来のロバート・レヴィン客演。モーツァルト「レクイエム」のレヴィン版はこの人の校訂によるもの。学者としても高名なマエストロだが、アメリカ人らしく快活なユーモアに溢れた魅力的な人物。生き生きとした演奏が聴けると思う。ご夫人のヤーフェイ・チャンとの息の合った2台ピアノも楽しみ。
参考音源:レヴィン(ピアノ)、サロネン/フィンランド放送響のベートーヴェン「ピアノ協奏曲第1番」より第3楽章 


2016/10/15  第816回 C定期

ペンデレツキ:シャコンヌ─《ポーランド・レクイエム》より(1984/93/2005)
武満 徹:ア・ストリング・アラウンド・オータム(1989)
チャイコフスキー:交響曲第5番 ホ短調 op.64

指揮:下野竜也
ヴィオラ:鈴木学

秋を意識したペンデレツキ×武満徹という「ロマンティックな」プログラム。下野さんからの提案で新ロマン主義のペンデレツキ、「パリの秋」フェスティバルの委嘱で書かれた武満徹(ヴィオラ鈴木さんからの提案)という流れ。特に武満作品は驚くほど美しい曲で、前衛時代とは全く異なる。好みも分かれるが、この曲で新たに武満ファンになった方も多かったよう。(初演はケント・ナガノ×今井信子) メインは、いわゆる「名曲」レパートリーに大変慎重な下野さんと話し合った結果、チャイコフスキー第5番。「下野さんの新境地」を聴く機会になるだろう。
参考音源:ペンデレツキ「ポーランド・レクイエム」よりシャコンヌ武満徹「ア・ストリング・アラウンド・オータム」


2016/11/3 No.371 プロムナード
リスト:交響詩《レ・プレリュード》 S.97
リスト:ピアノ協奏曲第1番 変ホ長調 S.124
チャイコフスキー:交響曲第4番 ヘ短調 op.36

指揮:小泉和裕
ピアノ:反田恭平

4月C定期と合わせて小泉和裕の都響デビュー40周年を祝う演奏会。 1976年11月3日の「第87回ファミリーコンサート」で小泉和裕は都響デビュー。ファミリーコンサートが改名したのが今のプロムナードコンサートなので、偶然ながらシリーズ、メイン曲目、日にちが40年前と揃うことになった。人間讃歌的なリスト、チャイコフスキーで力強い演奏を期待。ソロの反田恭平はロシアで学ぶ期待の若手、リストの破天荒な名曲をどう奏でるか楽しみ。


2016/11/19 第817回 B定期
フォーレ:組曲《ペレアスとメリザンド》 op.80
デュティユー:ヴァイオリン協奏曲《夢の樹》(1983-85)
シェーンベルク:交響詩《ペレアスとメリザンド》op.5

指揮:大野和士
ヴァイオリン:庄司紗矢香

大野監督からシェーンベルク「ペレアスとメリザンド」の提案。作曲家が無調に辿り着く前の作品で、 ライトモティーフ、ソナタ形式的な扱い、また交響曲風の構成も感じられる。後期ロマン派の薫り濃厚な一作。生誕100年のデュティユーは庄司さんのご快諾を頂いた。彼女もやってみたかった曲だとのこと。「ハーリ・ヤーノシュ」などで使われるツィンバロムが使われる協奏曲。一曲目は「ペレアス」繫がりでフォーレ。メーテルリンクのこの戯曲は、このほかにドビュッシー、シベリウスも作品を残している。 
ちなみにデュティユー作品は、大野さんがリヨン歌劇場管と録音もしている。ソロを弾くのは2017年1月A定期に登場するイワノフ。


2016/11/27 第818回 C定期
2016/11/28 第819回 A定期 
ベルク:アルテンベルク歌曲集 op.4
ラヴェル:左手のためのピアノ協奏曲 ニ長調
マーラー:交響曲第4番 ト長調

指揮:大野和士
ピアノ:ピエール=ロラン・エマール
ソプラノ:天羽明惠

大野監督のマーラー4番。ソロの天羽さんは彼の希望で、マーラーに加えてもう一曲ということで大野監督は「ワイン」はどうかと言ったが、マーラー4番と性格が違い過ぎるので「アルテンベルク歌曲集」に落ち着いた。ラヴェルで左手を弾くエマールはこの演奏会のためだけの来日、もしかすると左手しか使わずに帰るかもしれない(笑)結果的にかなり濃厚なプログラムになった。
11月B定期、A・C定期は対ともいえる構成になっており、3人の作曲家を年表にして並べてみると面白いように時代が重なっている部分が多い。大野監督の「広角打法」というべきか。


2016/12/13 第820回 C定期
2016/12/14 第821回 B定期 
ドヴォルザーク:ヴァイオリン協奏曲 イ短調 op.53 B.108
マーラー:交響曲第1番 ニ長調 《巨人》 

指揮:ヤクブ・フルシャ
ヴァイオリン:ヨゼフ・シュパチェク

首席客演指揮者ヤクブ・フルシャが2年3ヵ月ぶりの帰還、マーラー「巨人」を指揮。前回はウィーン国立歌劇場でのヤナーチェク「マクロプロス事件」プレミエ指揮(国塩さんは観に行かれたそうだが、すばらしい指揮だったのこと)のために都響から送り出す形となったが、きちんと帰ってきてくれた(笑) チェコの指揮者にとってマーラーは伝統的に重要なレパートリーで、フルシャも当然その流れの中にある。彼はバンベルク響のシェフにも決定しているので、尚更求められるレパートリーだろう。ドヴォルザークの協奏曲を弾くシュパチェクはチェコ・フィルの若きコンマスで、チェコ音楽界の将来を担う二人の若手を一度に聴くプログラム。


2016/12/19 第822回 A定期
マルティヌー:交響曲第5番 H.310
ショスタコーヴィチ:交響曲第10番 ホ短調 op.93

指揮:ヤクブ・フルシャ

フルシャは都響首席客演指揮者在任中にマルティヌーの全交響曲演奏をすると意気込んでいる。今年度がこの第5番で、2017年度は第1番・第2番が決定しており、全曲達成となる。第5番は希望と不安、祖国へ帰りたいという思いが交錯する作品。第3楽章冒頭で、チャイコフスキー「悲愴」終楽章の引用があるとも言われる。ショスタコーヴィチ10番は都響からの打診。スターリンの死を待っていたかのように発表された意味深な傑作で、DEsCHやエリミーラの動機、マーラー「大地の歌」の引用が散りばめられている。ショスタコーヴィチはインバルに鍛えられている都響なので、フルシャの指揮でまた違った魅力を聴かせてくれるだろう。
(フルシャは「第9」公演も指揮)


2017/1/10 第823回 B定期 
ブルックナー:交響曲第5番 変ロ長調 WAB105(ノヴァーク版)

指揮:小泉和裕

ブルックナーの交響曲中でも孤高の峻厳とも言うべき「第5番」を小泉和裕が満を持して指揮。初期交響曲で名演を重ねた都響でようやく取り上げる大作に期待。対位法と宗教的恍惚に浸る音楽。


2017/1/23 第824回 A定期
ウェーバー:歌劇『オイリアンテ』序曲 op.81
チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op.35
グラズノフ:交響曲第5番 変ロ長調 op.55

指揮:小泉和裕
ヴァイオリン:ヨシフ・イワノフ


グラズノフの第5番はB定期のブルックナーと同じ変ロ長調で書かれた作品。グラズノフの交響曲中もっとも親しみやすい作品で、ロシア的な叙情とドイツ的な構成感が同居している。以前マエストロは都響で「四季」を演奏しているし、名フィルでは既に第5番を取り上げているお得意の作曲家。
チャイコフスキーの協奏曲を弾くイワノフは前月ドヴォルザークを弾くシュパチェクと同い年。


2017/2/26 第825回 C定期
デュカス:交響詩《魔法使いの弟子》
レスピーギ:交響詩《ローマの噴水》
ベルリオーズ:幻想交響曲 op.14

指揮:ダニエーレ・ルスティオーニ

二期会「蝶々夫人」で都響を振ったルスティオーニがコンサートに初登場、同月やはり二期会「トスカ」も彼と都響がピットに入る。幻想、デュカスはマエストロからの提案で、中プロはプッチーニ「交響的奇想曲」とレスピーギの二択となり、最終的にレスピーギに。
ちなみに彼は2016年6月に東響も振るが、これはブッキングの順序の問題。ウルバンスキの代役を探していた東響がルスティオーニに打診したが、彼は2016年6月なら来れるということで客演が決定した。二期会「蝶々夫人」で都響と共演したのはその後だった。ルスティオーニは大野監督の後任としてリヨン歌劇場のシェフにも決定している。監督も彼を評価しているとのこと。


2017/3/9 第826回 C定期

ベートーヴェン:序曲『レオノーレ』第3番 op.72b
ベートーヴェン:交響曲第8番ヘ長調 op.93
ワーグナー:歌劇『さまよえるオランダ人』序曲
ワーグナー:歌劇『ローエングリン』第1幕への前奏曲
ワーグナー:楽劇『ニュルンベルクのマイスタージンガー』第1幕への前奏曲

指揮:飯守泰次郎

いまや古典芸能の巨匠のような感のあるマイスター、飯守泰次郎の指揮によるベートーヴェン&ワーグナー選。お得意のレパートリーで至高の芸を魅せて頂きたい。


2017/3/21 第827回 A定期

ブラームス:ピアノ協奏曲第1番 ニ短調 op.15
ブラームス:交響曲第4番 ホ短調 op.98

指揮:大野和士
ピアノ:ニコライ・ルガンスキー


大野監督らしからぬ(笑)王道×直球プログラム。ブラームス初期のうずまくような情熱、そして晩年の枯淡の境地を一夜にして味わってほしい。ルガンスキーは日本でもおなじみだが、意外とブラームスを弾くのは珍しい。
このプログラムで都響は3/18福岡3/19名古屋とツアーを行う。ちなみに名古屋にはこの時期、 3/17&18小泉和裕×名フィル、3/19都響、3/20インバル×ベルリン・コンツェルトハウス管と都響指揮者陣が集結することになっている。


2017/3/26 都響スペシャル
チャイコフスキー:交響的幻想曲 《テンペスト》op.18
トマ:歌劇『ハムレット』より「私も仲間に入れてください」(オフィーリア狂乱の場)
プロコフィエフ:バレエ組曲《ロメオとジュリエット》より

指揮:大野和士
ソプラノ:アマンダ・ウッドベリー

2016年が没後400年となるシェイクスピアにちなんだプログラム。「テンペスト」はチャイコフスキーの名曲、プロコフィエフの「ロメオとジュリエット」は説明要らず。中プロ、トマの狂乱の場はオペラ・ファンには有名で、ナタリー・デセイの録音などでご存知の方もおいででは。オペラ指揮者としての大野監督の指揮にも期待。ウッドベリーは大野監督の推薦によるアメリカのソプラノ。