2016/5/24
読売日本交響楽団 第558回定期演奏会
@サントリーホール 大ホール

プロコフィエフ:交響的絵画「夢」
ハチャトゥリアン:フルート協奏曲
~ソリスト・アンコール~
武満徹:エア

プロコフィエフ:交響曲第5番

フルート:エマニュエル・パユ
管弦楽:読売日本交響楽団
コンサートマスター:小森谷巧
指揮:キリル・カラビッツ

ボーンマス響との録音が優れた出来栄えを示す俊英・カラビッツが読響初登場。以前は東響に客演したことがあるようだが、自分が聴くのは初めて。パユ、ムローヴァという名ソリストを迎えての2シリーズはすこぶる客入りも良いようだ。

一曲目、プロコフィエフの交響的絵画「夢」は作曲家若書きの作品という印象、実際19歳の時の作品だ。印象派のような音楽は正直言って個性に欠け、後半でプロコフィエフらしい筆致も出てくるがあまり印象に残らなかった。演奏は当たり障りのない感じ。

ハチャトゥリアンのヴァイオリン協奏曲ではオーケストラは12型に縮小。名フルーティスト・ランパルが原曲をフルート用に編曲したのだが、これがまさかナマで聴ける日が来るとは。(ちなみに、来年神奈川フィルでも演奏される)フルートには演奏不可能な重音などを改変するなどの処理がしてあるそうだが、もともとヴァイオリン協奏曲の時点で超絶技巧的を要するこの曲、あまりにパユの独奏が凄すぎて呆気に取られた。第1楽章のカデンツァ(ランパルの作による)で魅せ、終楽章の狂乱は文字通りアクロバットの極致、どんな超高速でも一つとして無作為な音が無く唖然とする。オーケストラも野趣溢れる打楽器的な書法をたっぷりと活かしており、協奏曲とはいえ気概十分なカラビッツには好感を持った。大喝采に応えて、パユが吹いたアンコールは武満「エア」。この切り替えがまた、どういう脳の構造をしているのか?というほどに鮮やかで、その幽玄な音色はある意味日本人以上に日本的だった。恐るべし、である。

オーケストラは16型に戻り、プロコフィエフ5番。ここでは前述のボーンマス響と交響曲全集も録音済みのカラビッツの本領発揮となった。楽曲の芯をがしりと握りつつ細部まで十全な指揮、成る程ヨーロッパの若手注目株の1人というのも納得だ。社会主義リアリズムを思わせる曲の流れを生かしつつ、第2楽章のハッとする場面転換などでは鋭敏な感覚で魅せた。読響の燃焼度も高く、ドイツの放送オケのよう。 第2楽章の高速パッセージでは若干木管がボヤけた感もあるが(その中でクラリネットの自由さは出色)、概ね高水準。終楽章最後の急速なクァルテットでは鬼気迫る追い込みが見事だった。カラビッツとの相性も良いようだ。