2016/5/28
東京交響楽団 第640回定期演奏会
@サントリーホール 大ホール

プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番
~ソリスト・アンコール~
J. S. バッハ(シロティ編曲):前奏曲 ロ短調

チャイコフスキー:交響曲第4番

ピアノ:アレクサンダー・ロマノフスキー
管弦楽:東京交響楽団
コンサートマスター:グレブ・ニキティン
指揮:クシシュトフ・ウルバンスキ
 
東響「元」首席客演指揮者のクシシュトフ・ウルバンスキが登場。指揮者陣からは離れた形になるが、どうやら全く来なくなるわけではないらしい。ウルバンスキ自身は来春3月、北ドイツ放送響(正式名称はNDRエルプフィルハーモニー管弦楽団)を伴って来日する。

前半はプロコフィエフのピアノ協奏曲第3番、ロマノフスキーの玲瓏なソロとオケの精妙極まる響きが絶妙に合わさった。冒頭のクラリネット・ソロから距離感が素晴らしく、その後次々と繰り出されるソロ群も痛快な諧謔に富んでいる。メカニカルな管弦楽の書法はいかにもアメリカ的で颯爽としており、気品すら湛えたピアノも余裕がある。第2楽章の密やかな会話、続く第3楽章の錯綜する音楽もウルバンスキは緻密に組み立てていた。終楽章の集結近く、ホルンのAの咆哮を鮮やかに対比させる(第1・2と第3・4を交代で)等、楽譜を置きつつも彼らしく完璧な掌握であった。

続くチャイコフスキー4番。弦をソットヴォーチェで歌わせ、強奏よりmf以下の豊かなニュアンスに力点を置いた演奏は実にウルバンスキらしい。ポーランド出身ゆえの感情ではまさか無かろうが、ロシア的情緒を聴かせようとするのではなく、徹底的に音楽としての美しさを追求する姿勢は彼らしい審美眼であった。冒頭の金管ファンファーレ(若干惜しかった)に続く弦の静謐な表情、木管と滑らかに対比される中間楽章などは東響の美質がよく出ていたと思われる。総じて解釈そのものはオーソドックスだが、最後の最後のバスドラム追加で笑いかけた。シンバルはカラヤンがやっていた記憶があるが、バスドラムを加えるとは!サロネン/ロス・フィルのマーラー3番でのバスドラム追加以来の痛快な驚きであった。