2016/5/30
東京都交響楽団 第808回定期演奏会Aシリーズ
@東京文化会館 大ホール

ヒンデミット:金管と弦楽のための協奏音楽
モーツァルト:ピアノ協奏曲第24番
~ソリスト・アンコール~
シューマン:ダヴィッド同盟舞曲集 作品6より第12曲

R. シュトラウス:楽劇「ばらの騎士」組曲

ピアノ:エリック・ル・サージュ
管弦楽:東京都交響楽団
コンサートマスター:矢部達哉
指揮:秋山和慶
 
久々にオーソドックスなプログラムで都響定期に登場した秋山さん。とはいえ、ややピリ辛なプログラムかもしれない。

ヒンデミットの協奏音楽、文化会館のソリッドな音響で聴くこの曲は凄みがある。秋山さんの隙のない棒を得たアンサンブルが常以上に輝いた。冒頭で金管が吹き鳴らした瞬間は弦楽がいささか弱く感じたのだが、なんのことはなくすぐに適切なバランスに修正されていった。この曲は年初のシカゴ響来日公演でも取り上げられたが(自分は聴いていない日)、きっと全く別の曲のように聴こえただろう。都響の演奏に不満だったのではなく、全く申し分ないものだったが。

モーツァルトの数少ない短調協奏曲である第24番、ル・サージュの洒脱な独奏が美しい。打鍵は柔らかく静かに寄り添うようで、カデンツァはフォーレの作曲によるもの。フランス人ならではの選択なのかはわからないが、ロマン派の薫り高い名品だった。アンコールのシューマンもその余勢を駆ったと言えるか。バックのオケは王道を往く安定感ある響きで、3月のインバル同様モーツァルトらしさはあまり感じないが隙がない。秋山さんの協奏曲伴奏は名人の技だそうだが、なるほどソリストへの配慮はよく感じられた。

後半はR. シュトラウス「バラの騎士」組曲。あまりこの編曲は好きでないのだが—実演で聴いてもやはりその印象は変わらず。ただメロディメイカーとしてのシュトラウスの魅力が減じることは当然ない。コントラバスのピッツィカートの開幕に続くホルン斉奏はかなり粘っこく、その後も所々「秋山節」とでも言うべき粘りが気になる。それを除けば正攻法の名演であった。ウィーンの噎せる官能とは違うが、オーケストラの豊かな響きはそれだけで感銘深い。日本人指揮者とオケでこれだけ表情豊かなシュトラウスが聴けるとは、隔世の感がある。各ワルツで立ち現れるSoliも弦を中心にセンスに富み、金管の芳醇な音色も絶好調ではなかったか。文化会館の音響の中で、金管を無機質にせずに鳴らすのは至極難しい芸当なのだ—どんなヴェテラン指揮者であっても。秋山さんの手腕は見事だった。