2016/6/12
慶應義塾ワグネル・ソサィエティー・オーケストラ 第218回定期演奏会
@東京芸術劇場 コンサートホール

ウェーバー:歌劇「オベロン」序曲
リスト:交響詩「レ・プレリュード」

エルガー:交響曲第1番

管弦楽:慶應義塾ワグネル・ソサィエティー・オーケストラ
指揮:藤岡幸夫 
 
久しぶりに慶應ワグネル・オケ(通称ワグオケ)を聴いた。指揮は慶應の美学美術史専攻(通称ビビ)出身で英国に学んだマエストロ・藤岡幸夫。以前シティ・フィルを振ったヴォーン・ウィリアムズが好演だった彼のエルガーとくれば、俄然興味がわくというものだ。

冒頭のウェーバー「オベロン」序曲から身の詰まった弦の響きが凛々しく、好調な滑り出し。1番ホルンはやや惜しかったが、全体の印象を損なうほどではない。ドイツ・オペラの始祖たるウェーバーの旋律はシンプルかつ緊密、かつ素朴なロマンを湛えている。ティンパニが第二の指揮者としてより積極性を発揮すれば響きは引き締まったかもしれない(固めのマレットの選択など)が、木管の見事さなどは特筆すべき水準。
続くリストの「レ・プレリュード」も引き締まりつつロマンを拡げるが、木管に主軸が移ると輪郭がボヤける感はあった。ただトロンボーンなど金管群はアマオケのレヴェルを大きく超えた安定、驚いた。以前聴いたのは昨年春の「英雄の生涯」だったが、メンバーが大きく入れ替わっているにしろ響きの重心が低くなり、骨格がよく見える。藤岡さんも誠実な解釈だった。

休憩を挟んでのエルガー1番は、冒頭のティンパニのトレモロに続きヴィオラが出す主題からホルンを重ねて聴かせるなど個性的な側面も感じられた。イギリス音楽らしい内的燃焼に加え、楽曲全体が燃え立つような音楽作りは大いに聴き応えあり。第2楽章の精緻さ、3楽章の繊細な運びも入念な作り込みで楽曲の魅力を存分に味わった。特に前者などは技術的にかなり難関だが、弦の交錯はセミプロと言って良い水準だ。もっとも、随所で鳴り物が強調されすぎるなどバランスに調整の余地はあった。藤岡さんがTwitterで語っておられた拘りはかなりの点で達成されたのでは?オケの中では、 攻め気味のホルン群や雄弁な弦楽器などが特に高水準であった。終楽章では藤岡さんも大いに唸りを上げる熱演となり、盛んな喝采が飛び交った。

藤岡さんのエルガーへの思いを、何の技術的な心配もなく味わうことができた。特に、ともすれば停滞しかねない第3楽章でのオケの集中力は素晴らしい。次回は高関さんでブルックナー「ロマンティック」とのこと、これもまた聴きものであろう。楽しみだ。