2016/6/17
NHK交響楽団 第1839回 定期公演 Cプログラム
@NHKホール

R. シュトラウス:交響詩「ドン・ファン」
R. シュトラウス:オーボエ協奏曲
~ソリスト・アンコール~
グルック:歌劇「オルフェオとエウリディーチェ」より 精霊の踊り(ピアノ伴奏)

ブラームス:交響曲第3番

オーボエ:フランソワ・ルルー
管弦楽:NHK交響楽団
コンサートマスター:伊藤亮太郎
指揮:ヴラディーミル・アシュケナージ
 
アシュケナージ×N響を聴く。かつて音楽監督であった彼は今でもほぼ1シーズンに1回は戻ってきているようで、信頼関係は適度に保たれているのだろうか。ピアニストとしてはそれなりに好きだが、指揮者としての彼には特に魅力を感じない。個性が無いのが個性、という認識だ。

というわけで殆ど期待せずに自席に座ったわけだが、前半R.シュトラウス「ドン・ファン」は意外にも好演。というより、最近このオーケストラでシュトラウスを振っているパーヴォのアプローチに辟易としていたので、対照的によく聴こえたのかもしれないが。パーヴォ・ヤルヴィの色気のない筋肉ゴリ押しの演奏とは異なり、不器用な人間味を残すアシュケナージの棒がうまく作用したとみた。ざらついたオーケストラのサウンド(とはいえN響は巧い)、直截な金管の響きも素晴らしい。続いて同じくシュトラウス、オーボエ協奏曲をフランソワ・ルルーで聴けるとあらばこれはもう鉄板だ。特に言うことはない、この曲を愛する者として幸せな時間だった。大ホールのハンディを微塵も感じさせない息の長さ、完璧に考証されたフレージングの旨味に酔うばかりだ。ところで、ホールに入場した時から何故かピアノが隅に置いてあるのが気になったのだが、アンコールではこのピアノをステージ下手に運び出してアシュケナージが弾いてくれた。贅沢!

後半はブラームスの「交響曲第3番」。この指揮者とオケで予想した通り、特に何も起こらない至極真っ当な演奏。ただ、翌日にはどんな演奏を聴いたか早くも記憶から消し飛んでいた。まあ、アシュケナージというのはそういうレヴェルの指揮者だろう。酷なようだが。N響なので疵はほぼ無いし、独特のクセがある指揮とて音楽をムリに引っ張ることはしない。ただ一点、木管の強弱はピアニスト的な造形感覚かと思われる。オケの中では、彼独特の棒に付けられる団員、そうでない団員の差により合奏の齟齬が一部生じていた。やはり、アシュケナージは好んで聴きに行きたい指揮者ではない。