2016/6/25
サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン
キュッヒル・クァルテットのシューベルティアーデ III
@サントリーホール ブルーローズ

シューベルト:弦楽四重奏曲第12番「四重奏断章」
シューベルト:弦楽四重奏曲第9番
シューベルト:弦楽五重奏曲

弦楽四重奏:キュッヒル・クァルテット
ヴァイオリン:ライナー・キュッヒル、ダニエル・フロシャウアー
ヴィオラ:ハインリヒ・コル
チェロ:ロベルト・ノーチ
チェロ:堤剛

キュッヒル・クァルテットのシューベルティアーデ最終日。川瀬賢太郎×神奈川フィル・名古屋フィルの気概溢れる演奏を聴いてからサントリーホールへ向かったのだが、チケットを取ってから「しまった、こんなハシゴを計画するべきではなかった」と思ったのは内緒。音響的に規模が違いすぎる・・・。

一昨日はガタガタな「死と乙女」「鱒」に愕然としたが、今日の前半はやや安定か。弦楽四重奏曲第12番D703「四重奏断章」は持ち前のシリアスな表情が似合い、続く第9番D173は普通。ただ全体的に緩く、悪い意味でSP録音を聴くよう—と言っては幾多の先達に失礼か。

後半の「弦楽五重奏曲」は、チェロに堤氏を迎えての演奏。この曲はシューベルトの室内楽作品の中でも特に愛好しているのだが、残念ながら音楽を純粋に味わう以前の問題が山積しておりハラハラさせられた。何度も悪いが、1stヴァイオリンの御大はスピード勝負を是とするのかと勘繰りたくなる程にピッチが定まらず(実際、ボウイングは驚くほど速く鋭敏だ)、5人の呼吸もバラバラ。若手メンバーの呼吸、コルやキュッヒルの呼吸、そして堤さんの呼吸と各人が好きなように演奏しているのだ。特にバランスが悪かったのはスケルツォだった。

キュッヒル・クァルテットについては、ベートーヴェン・ツィクルスのCDや実演を聴かれた方からもあまり良い評判を聴かない。個人的に、オーケストラを鼓舞し力強く引っ張っていく奏者としてのキュッヒルは評価しているのだが、室内楽でこれだと流石にトシなのかと勘ぐってしまう。何より、団体として一つ一つの演奏会に向けての着実なリハーサルが感じられないというのは非常に信頼できない要素だ。彼らが常にそうだとは思いたくないけれども。