2016/6/26
東京交響楽団 第641回定期演奏会
@サントリーホール 大ホール

グリンカ:歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲
ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲第1番
~ソリスト・アンコール~
イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番「バラード」
パガニーニ:24のカプリース第16番

チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」

ヴァイオリン:フランチェスカ・デゴ
管弦楽:東京交響楽団
コンサートマスター:水谷晃
指揮:ダニエーレ・ルスティオーニ

マリオッティ、バッティストーニ、そして今回のルスティオーニ—イタリアの若手指揮者は豊作だ。少し上の世代に行けばルイゾッティ(彼が東響との縁を重視しなかったのはもったいなかった)、ノセダ、ルイージと次代の巨匠クラスが並ぶ。若手三羽烏も、すでに名誉あるポジションを皆与えられており、ルスティオーニは大野和士の後任としてリヨン歌劇場の舵取りを任されている。今回は2月の都響来演に先んじて東響でロシアン・プログラムを披露した。

グリンカ「ルスランとリュドミラ」序曲は残念ながら遅刻で聴けず。(あと30秒早ければ入れていたのだが・・・笑)モニターで観た限りは、オーケストラをよく鳴らしつつ、全体は適度なバランス感覚に支配されていた。このあたり、彼がプログラムのインタヴューで語っていたロシア音楽の特徴(ラプソディックではなく、一つにまとまっている)を体現していたのではないか。

カーテンコールの間に客席に入れてもらい、ショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲第1番。20世紀屈指のヴァイオリン協奏曲である超名曲であるが、ソヴィエト崩壊から時を経た現代においては政治色・諧謔を排した演奏も増えてきた。当夜のフランチェスカ・デゴの独奏もその中に入ると言っていいだろう。左手の細かなポルタメントの効果が随所で美しく、オケの方向性とも相まって純粋に音楽として完成されている。第2楽章などのメカニックも申し分なく、鮮やかであった。夫君のルスティオーニと互いを讃えつつ、拍手に応えての アンコールは2品。大曲コンチェルトの後にもかかわらずイザイ、パガニーニで鮮やかな技巧を披露。ルスティオーニはステージ下手側で満足げに聴いていた。

後半はチャイコフスキー「悲愴」。テミルカーノフ×ペテルブルク・フィルのロシア音楽も空気感共々体験したという彼だが、実にストレートであざとさのない演奏だった。(なさすぎるかも?と思わないでもない。笑)全楽章、細かな疵を恐れず轟々とオケを鳴らす手腕は見事だ。特に、第2・第4楽章の綿々たる歌は彼が入念に作り上げた箇所だろう。水谷さん率いる弦はよく彼に応え、起伏大きな演奏を成し遂げていた。金管群は自ら適切なバランスを瞬間ごとに作り出し、木管はハーモニーの溶け合いが美しい。東響はいまや、どのようなレパートリーにおいても安定した合奏を保てるのだ。終演後の沈黙も完璧、満足いく演奏会だった。