2016/10/20
群馬交響楽団 東京オペラシティ公演
@東京オペラシティコンサートホール・タケミツメモリアル

ヴォーン・ウィリアムズ: トマス・タリスの主題による幻想曲
プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第2番
~ソリスト・アンコール~
ブラームス:6つのピアノ小品より第2曲「間奏曲」

ウォルトン:交響曲第1番

ピアノ: ハオチェン・チャン
管弦楽:群馬交響楽団
コンサートマスター:伊藤文乃
指揮:大友直人

定期的に東京公演を行っている群馬交響楽団、自分が聴くのは昨年12月の「ドン・キホーテ」以来。(今年3月の「トゥーランガリラ」が良かったそうで痛恨だ)彼らは1年に2回ある東京公演のうち、年度末は群馬での定期と同じプログラム、もう一つ(今回)は東京でしか聴けないプログラムを持ってくる。会場には群馬からいらしたと思われる方もちらほら。

一曲目はヴォーン・ウィリアムズ「タリスの主題による幻想曲」。今年既に2回も聴いている(マリナー卿最後の来日となったアカデミー室内管都響)のだが、何度聴いても素晴らしい曲だ。今回はアカデミーの時と同様に舞台下手に弦楽合奏と四重奏を寄せた形。都響は文化会館の広い舞台を使ってはっきり群を分けており、この曲の意図せんところがよく分かった記憶がある。
冒頭はみっちり詰まった響き、しかもピッチがよく揃い美しい。この時点で群響の弦が前回より良い状態にあることを確信した。その後も瑞々しいサウンドで、旋律の膨らみに相応しい豊潤さを感じることができた。これは決してオペラシティの優れた音響のお化粧ではないと思う。下手側の小編成合奏にはシティ・フィルの渡邉さんの姿が。コクのあるヴィオラで演奏の旨味をより高めていた。

続いては中国出身の俊英ハオチェン・チャンを迎えてのプロコフィエフ「ピアノ協奏曲第2番」。2009年、辻井伸行と優勝を分け合ったというヴァン・クライバーン国際コンクールのファイナルでも演奏した「勝負曲」だろう。登場した彼はごく普通のアジアの好青年といった出で立ちだが、ピアノに向かうと斬れ味鋭く曲に挑み続ける。リズムの冴えは申し分ないところだし、第1楽章の長大なカデンツァも大芝居は打たずに着実かつ綿密に攻める。総じて知的な印象を与えるピアニストだ。大友さんの指揮は若干リズムが鈍く、急速な第2・4楽章ではやや重めに感じられる箇所もあった。だがオケの音色はここでも素晴らしい。

休憩を挟んでウォルトン「交響曲第1番」。アヴァンギャルドなプロコフィエフから更に20年下った時代に書かれたとは信じ難いほど、堂々たる風格を有した新ロマン派的大交響曲だ。プログラムにも書かれている通り、2管編成ながら壮大なサウンドを持つ作品で、各セクション膨大な音符の量で休む暇がない。この曲を持ってくるのは大友さんの自信なのだろうか。
群響は総力挙げての大健闘。第1楽章で一瞬空中分解しそうになったり、第2楽章の木管の発音が明晰でなかったりと細部の改善点は多々聴かれた。弦もピタリとハマる箇所は素晴らしいが、シンコペーションのぎこちなさや細部の混濁などは避けられない様子。だがそれ以上に指揮者の読み込みの確かさ(第1楽章では歌いご声も!)と金管群の充実を感じられ、終局の大スペクタクルにおけるホルンのベルアップも良い音だ。2対のティンパニ(2ndは読響の武藤さん)は全曲通して痛快な打音で引き締めた。何より、この曲を東京公演で勝負にかけるという意気込みが素晴らしいではないか。

前後半共にヘヴィーなプログラムによる一夜、終演は21時半を回った。客席の寂しさは否めなかったが、よい演奏会だった。