2016/12/30
川崎室内管弦楽団 結成演奏会
@慶應義塾大学 日吉キャンパス 協生館 藤原洋記念ホール

モーツァルト:モテット「エクスルターテ・ユビラーテ(踊れ、喜べ、幸いなる魂よ)」
モーツァルト:ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲

モーツァルト:交響曲第41番「ジュピター」

ヴァイオリン:毛利文香
ヴィオラ:田原綾子
ソプラノ:中山美紀
管弦楽:川崎室内管弦楽団
コンサートマスター:相原千興、毛利文香
指揮:坂入健司郎

昨年10月にかわさき産業親善大使に任命された指揮者の坂入さんが、従来の東京ユヴェントス・フィルとの活動に加えてプロフェッショナル・オーケストラ「川崎室内管弦楽団」を結成。旗揚げの演奏会が慶應日吉キャンパス内の藤原洋記念ホール(美麗な中規模ホールだ)で行われた。昼夜2公演だったが、自分は夜の部を聴いた。

オーケストラの色がそのままに出るであろうオール・モーツァルト・プロでの結成演奏会。各セクションに腕利きの名手を集めた室内オケは、ヴァイオリンは両翼配置でコントラバスは舞台後方一列に並ぶ。一曲目「エクスルターテ・ユビラーテ」の伴奏からしっとりとした質感で美しい。そこに軽やかに加わるソプラノ中山美紀さんは、頭声豊かな歌の持ち主。1・2曲目にまずは酔い、終曲ハレルヤでは抜けの良い讃歌を浴びることになった。昨秋のリサイタルでもヴィヴァルディで見事なアジリタを聴いたが、低域に更なる魅力が加われば次代を担う名手となられるだろう。
続く「ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲」では、ヴァイオリンの毛利文香さん(この方も慶應在学中でいらっしゃる)とヴィオラ田原綾子さんの美音の交歓がたまらない。清楚でピンと張った表情のヴァイオリン、変化球も随所に交ぜながら音楽を進めていくヴィオラという自然な対比が成されており、ソロに合わせて柔らかく自然に色彩を変えることの出来るオケの気品もまた見事。第2楽章の耽美的な響きといったら!なお独奏者のお二人はしばしばトゥッティのパートも担当していた。

後半は最後の交響曲・第41番「ジュピター」。前半の伸びやかさはそのままに、坂入さんのロマン溢れる音楽性がより前面に出た好演となった。敢えてヴィブラートを排さず豊満に弦を鳴らしつつも、小編成の利点を活かした明晰な声部強調が随所で行われ、より音楽は雄弁に響く。繰り返しもきっちり行う第1楽章の威厳から魅力的で、心地よいロココ感を湛えた3楽章も美しかった。終楽章ではひたすら猛進しつつ、ホルンの主題直前ではオーケストラ全体が呼吸を整えるような技も駆使される。青天へ高らかに伸びゆく若竹のような表情をも感じられた、実に心地よい結成演奏会だった。次回以降も楽しみに待ちたい。