2017/11/29
新日本フィルハーモニー交響楽団 第581回定期演奏会
@サントリーホール 大ホール

フランス6人組:バレエ音楽「エッフェル塔の花嫁花婿」
プーランク:オルガン、弦楽とティンパニのための協奏曲

プロコフィエフ:交響曲第6番

オルガン:松居直美
管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団
コンサートマスター:豊嶋泰嗣
指揮:デニス・ラッセル・デイヴィス

11月末・今年最後の新日本フィル定期には、バロックから現代まで膨大なレパートリーを誇るアメリカの名匠―デニス・ラッセル・デイヴィスが登場。1920年代の6人組→その1人プーランクの30年代作品→6人組に冷淡だったプロコフィエフの40年代作品という巧妙なプログラムを持ってきた。時代背景、ジャンルを違えた芸術家同士の交流など、3曲通じて見ると実に多彩なキーワードがあふれ出す。渋い(渋すぎる?)選曲ゆえか客入りは厳しかったが、実現されたことに大感謝だ。
前半の2品。ジャン・コクトーが演出と台本を担当し、振り付けにも関わったという「エッフェル塔の花嫁花婿」は、作曲家集団「フランス6人組」が唯一合作で完成させたバレエ音楽だ。とはいえ、メンバーの一人であるデュレはリハーサル4日前に計画から抜けている。劇の内容はシュルレアリスム的で、完成したばかりのエッフェル塔を舞台とする。5人による合作ということもあってか、音楽の色彩はめまぐるしく移ろう。洒脱さもあるが、同時に重々しい緊張、引きつった珍妙さを湛えており、あたかもエッフェル塔建設で大揉めに揉めた当時のパリの世相を今に伝えるようである。続くプーランク「オルガン、弦楽とティンパニのための協奏曲」は、その名の通り管楽器を省いた編成。だがオルガンの幅広い音色は色彩の不足を感じさせず(寧ろこの効果が狙いだったのかと思える)、強靭に弦楽・ティンパニと渡り合う。サントリーホールの誇るオルガンが松居直美の手により場内を駆け回り、指揮とオーケストラも応じた。

後半はプロコフィエフ「交響曲第6番」。前半2曲は戦間期の作品だったが、こちらは第2次大戦終結直前にスケッチが開始された。一つ前の番号の「交響曲第5番」(作品番号100)と同様に、内省的な緩除楽章に続いて無窮動的な終楽章がやってくる。違いとしては、「第5番」が快活な運動性の中に終結するのに対し、「第6番」はともすれば強引と取られかねない程の、強烈な終結へ向かう点だろうか。このあたりが「ジダーノフ批判」の格好の餌食になったのかもしれない。この曲におけるD. R. デイヴィスの指揮は、リズムを特段厳格に浮き立たせるでもなく、しかし旋律で単色に押しつぶすのでもない。強いて言えば、晦渋な楽曲を柔らかく解き明かすような、不思議なフワトロ感覚を有した。この感覚は、この作曲家の作品を聴く時には通常殆ど得られないような、奇妙な聴後感であった。オーケストラの管打の充実はなかなかで、2楽章の酷なホルンの高音も手堅く決まった。オケの水準向上を強く感じたわけだが、機能美と呼ぶにはあと一歩であろうか。
終演後には、今回で退団する小島光(パーカッション)に指揮者から花束が渡される温かなセレモニーもあった。