2018/1/27
新日本フィルハーモニー交響楽団
ルビー〈アフタヌーン コンサート・シリーズ〉 #11
@すみだトリフォニーホール 大ホール

ハイドン:交響曲第100番「軍隊」
ロッシーニ:スターバト・マーテル

合唱:栗友会合唱団(合唱指揮:栗山文昭)
ソプラノ:髙橋絵理
メゾ・ソプラノ:谷口睦美
テノール:宮里直樹
バス:ジョン・ハオ
管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団
コンサートマスター:西江辰郎
指揮:ジェームズ・ジャッド

1月のルビー・シリーズには英国のヴェテラン、ジェームズ・ジャッドが登場。 
まずは英国人指揮者ならではの名刺代わりともいえようか、ハイドンの「ロンドン・セット」より第100番「軍隊」。第1楽章の序奏からピリオド演奏の影響はそれ程感じず、マットな色合い。第2楽章の軍楽隊調の面白さもあくまで上品だ。オケの(いい意味で)手馴れた仕上がりには、かつてブリュッヘンと「ハイドン・プロジェクト」を手掛けた新日本フィルに流れる作曲家のDNAを感じた。ウィットに富んだジャッドの音楽性との相性も抜群だ。 

後半はロッシーニの「スターバト・マーテル」。こちらもまたオケを丁寧に鳴らしつつ、独唱・合唱との響きの絶妙なバランスを保つ手腕に感心する。淀みない進行やフレーズの丁寧な収め方は、職人芸という言葉が相応しいだろう。この作品は独唱4人の水準により出来が大きく変わる作品だと思うが、今回は盤石の布陣が揃った。特にテノールの宮里直樹は跳躍も高域も軽やかで、弱音でも声が痩せない。オペラ・アリアのように美しい第2曲に現れるDesのハイトーンでも余裕の表情と拡がりを見せた。続く第3曲の女声2人によるデュエットも、高橋絵里(ソプラノ)、谷口睦美(メゾ・ソプラノ)が色濃く嘆きの表情を伝えた。ジョン・ハオ(バス)も第4曲はじめ手堅い実力を発揮。この4名手による第9曲の重唱も、きわめてバランスが良く美しかったことを記しておきたい。栗友会合唱団も堅実な出来で、第1曲の詠嘆をはじめ弱音部における透明感・言葉の粒立ちは見事だった。また第10曲の劇的な迫力にも事欠かない。強いて言うならば、男声はややぶら下がり気味だったか。 

ジェームズ・ジャッドが新日本フィルと紡いだ「スターバト・マーテル」は、合唱音楽の伝統を持つ英国出身の名匠らしい見事な仕上がりだった。幅広いレパートリーを持つ名匠なので、次回客演があれば今度は是非エルガーやウォルトンの大作を聴いてみたい。