2018/2/16
新日本フィルハーモニー交響楽団 ルビー〈アフタヌーン コンサート・シリーズ〉 #12
@すみだトリフォニーホール 大ホール

ブラームス:悲劇的序曲
ハイドン:交響曲第104番「ロンドン」

メンデルスゾーン:交響曲第5番「宗教改革」

管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団
コンサートマスター:西江辰郎
指揮:鈴木雅明

2月の新日本フィル、ルビー(アフタヌーン・コンサート・シリーズ)では、バッハ演奏の泰斗である鈴木雅明が初登場を飾った。そのバッハは今回取り上げられなかったが、「マタイ受難曲」復活上演で知られるメンデルスゾーンの作品をメインに、ラテン語で神(Deus)を表すD=ニ調のプログラムが組まれた。2017/18シーズンに「宗教改革」を取り上げるのは、当然1517年のマルティン・ルターによる宗教改革から500年という祝賀の意味合いもあろう。

モダン・オケを振る時の鈴木雅明は、バッハ・コレギウム・ジャパンを率いる際とはまた違った表情を見せる。とにかく全編熱く、力強く音楽を推進させてゆく。今回もそうだった。ブラームス「悲劇的序曲」冒頭の打撃から強烈で、かつ粗さとは無縁の雄弁な音楽が広がる。続くハイドンの名作・交響曲第104番「ロンドン」も引き締まったテンポと構築で魅せ、膨大な情報量と熱量の両立からはこのコンビの初顔合わせの成功を確信した。今回に限らず、新日本フィルのハイドン演奏には確固たる自信が感じられて快い。ブラームスでは熱っぽく、ハイドンではやや清楚と、ヴィブラートやフレージングも細かく描き分けられていた。 
後半のメンデルスゾーン交響曲第5番「宗教改革」は、ホグウッド改訂の初稿版による演奏。弦は第1楽章のドレスデン・アーメンでヴィブラートを抑えて敬虔に響かせ、緊迫した主題(前半のハイドン『ロンドン』とリズムが酷似している!)では凝縮した響きで邁進した。そして何より、初稿の特徴である第4楽章の経過句が新鮮で、フルートとオケが清澄に魅せる。これが終楽章に現れるコラール「神は我がやぐら」をシームレスに導き、緊密に意味付けされた音の奔流に呑まれるうちに大団円となった。 

分厚く華やかな響きを持つモダン・オケの強みを活かしつつ、作曲家ごとの描き分けが光る充実の内容であった。「宗教改革」の終結の響きを聴きながら、2月の新日本フィルが巡ったドイツ・オーストリアの音楽の旅が結ばれる感慨すら覚えた。偶然にしてはやや出来過ぎであるが、よいプログラムをよい演奏で聴く、という至上の喜びに浸った1ヶ月であった。