2018/4/22
新日本フィルハーモニー交響楽団
#6 特別演奏会 サファイア<横浜みなとみらいシリーズ>
@横浜みなとみらいホール大ホール

モーツァルト:ピアノ協奏曲第24番
~ソリスト・アンコール~
ヘンデル(ケンプ編曲):メヌエットト短調

ブルックナー:交響曲第6番(ヴェス編纂版)
~アンコール~
モーツァルト:交響曲第29番より第4楽章

ピアノ:アンヌ・ケフェレック
管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団
コンサートマスター:崔文洙
指揮:上岡敏之

サントリーホールでの「ジェイド」シリーズの公演より音楽監督・上岡敏之指揮の演目を集めた新日本フィルの「サファイア」シリーズ。ホールが変わり、聴衆が変わることでまったく新たな音楽が創造される。今回選ばれた曲目は、モーツァルト「ピアノf協奏曲第24番」とブルックナー「交響曲第6番」。モーツァルトで独奏を弾いたのは、上岡×新日本フィルとの共演もお馴染みとなりつつあるフランスの名花アンヌ・ケフェレックだ。これまでも繊細なタッチと音色感覚でわれわれを魅了してきた彼女だが、今回も味わい深い演奏を聴かせた。清冽なケフェレックの独奏を慈しむように、指揮者とオーケストラが繊細に反応する。この三者、共演を重ねるにつれ音楽的密度が高まっていることが演奏からも如実に聴きとれた。例えば、彼女の左手とオケのコントラバスが呼応して推進力を生み、軽やかな右手は木管と歌を交わす。彼らが行っているのは、鋭いリズムの応酬とは真逆の、しかし瞬間ごとの細やかな連携に依った協奏曲演奏なのだ―次の共演はいつだろう、と楽しみになる。お得意のアンコールもしみじみと美しい。

後半のブルックナーは、「第5番」「第7番」と霊峰のような大作に挟まれた「第6番」。プログラムによれば、今回上岡が採ったのは、音楽学者・作曲家のヨーゼフ・ヴェナンティウス・フォン・ヴェス編纂による版(1927年出版)とのこと。ロベルト・ハース校訂の旧全集版が1935年の出版であるから、よくブルックナー演奏で話題になるハース版・ノヴァーク版の相違の前段階の問題というわけだ。今回の演奏はヴェス編纂版を完全に遵守したわけではないようだが、フレーズの移行における強弱が均され、パウゼも時折挿入されるなど、曲全体の印象を一変させた。第4楽章コーダにおける第1楽章第1主題回帰に加えられるティンパニ(第1楽章のリズムを強打する)は特に驚きを伴う箇所だ。上岡らしい響きへの強い拘りが活きたのは第2楽章結尾の最弱音で、遺作となった「第9番」のように幽く楽章を閉じる。オーケストラは楽譜の細かな違い、指揮者の妥協なき音楽の研磨にやや苦しみつつも、最大限健闘した。ブルックナーの後には同じ調性によるモーツァルトの名作が演奏され、演奏会は爽快に締め括られた。