2018/4/28
新日本フィルハーモニー交響楽団 第588回定期演奏会
@すみだトリフォニーホール大ホール

ボロディン:歌劇「イーゴリ公」よりポロヴェッツ人の踊り
グラズノフ:演奏会用ワルツ第1番

チャイコフスキー:スラヴ行進曲
ムソルグスキー(ラヴェル編曲):組曲「展覧会の絵」

管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団
コンサートマスター:崔文洙
指揮:パヴェル・コーガン

新日本フィルの4月末の「トパーズ」は大ヴァイオリニスト、レオニード・コーガンの子息パヴェル・コーガンが登場。協奏曲は置かず、指揮者とオーケストラの密接な作業を満喫できる管弦楽曲を4品並べたプログラムで勝負した。冒頭のボロディン「イーゴリ公」ポロヴェッツ人の踊り(イーゴリ公の踊り)はかなりのハイテンポで始まり、その中で新日本フィルの木管が軽やかに歌う。ティンパニの猛打が導く管弦楽のトゥッティには土俗的な力が漲っている。続くグラズノフ「演奏会用ワルツ第1番」はその熱気を冷ますように歌われる。主部・中間部共に物憂げな表情を湛えた美しい小品で、ひた押しに押すだけではないコーガンの腕が発揮された。前半を締め括るチャイコフスキー「スラヴ行進曲」では、地を踏みしめるような無骨な低音にどこか懐かしい薫りが漂う。ロシアというよりも、ソヴィエト時代の音楽芸術が新日本フィルから聴こえてきたように思え、感銘深かった。対旋律の丁寧な抽出も両立される。

後半のムソルグスキー(ラヴェル編)「展覧会の絵」も、ラヴェル編曲の洗練・典雅な表情というよりは、野太い原色の響きが印象的だ。勿論それだけではなく、強弱の起伏をはじめ細かな技も随所で光る。冒頭のトランペット・ソロを吹いたのは首席奏者の伊藤駿。明晰な拍節感と輝かしい音色で演奏を力強く率いた。「バーバ・ヤガー」以降は一段とオケ全体の響きの重心が下がり、端正さをかなぐり捨てて豪快な終結を築いた。しかし際のところで音色が粗くならないあたり、現在のNJPの好調ぶりを示すだろう。コーガンの棒は必ずしも明晰ではなく、乱れもあったが―オケの力感を強靭に引き出すという点では大いに成功していた。

筆者は聴くことができなかったが、「ルビー」シリーズでは北欧のヴェテランであるオッコ・カムが客演、NJP首席奏者・白尾彰を独奏に迎えたニールセン「フルート協奏曲」、十八番であるシベリウス「交響曲第2番」で気を吐いたという。多彩なプログラムを披露する新日本フィルの今後に、引き続き注目したい。