2018/5/12
新日本フィルハーモニー交響楽団 第589回定期演奏会
@サントリーホール 大ホール

ドビュッシー:夜想曲より 雲、祭り
ドビュッシー:交響的断章「聖セバスティアンの殉教」

フランク:交響曲

管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団
コンサートマスター:豊嶋泰嗣
指揮:ミシェル・プラッソン

5月のジェイドには当初ラドミル・エリシュカの客演が予定されていたが、高齢のため昨年10月の大フィルおよび札響への登場がエリシュカ最後の来日公演となり、新日本フィルとの初共演は幻となった。
そして彼の代役として登壇が決まったのが、こちらもフランスの重鎮(御歳84歳!)ミシェル・プラッソン。エリシュカが指揮する予定だったチェコ・プログラムから曲目は全て変更となり、プラッソンが自家薬籠中の物とするフランス音楽プログラムが用意された。(フランクはベルギーの生まれだが、国民音楽協会の最古参としてフランスで活躍した)

冒頭に置かれたのはドビュッシー「夜想曲」より第1曲「雲」、第2曲「祭り」。前者ではよく融和した木管の響きから指揮者の彫琢の成果が明らかに感じられ、後者の躍動も決して荒々しくなく気品が漂う。続く聖史劇「聖セバスティアンの殉教」からの交響的断章でも、その稀有な美しさは保たれる。第1曲「百合の園」は木管が奏する十字架音型に始まり、第2曲などの宗教的官能を経て、静謐な響きの中に消えゆく第4曲「善き羊飼い」までしなやかに展開する。実演に接することができるだけでも嬉しい作品だが、フランス音楽の美しい演奏伝統を体現する名匠と新日本フィルとの邂逅に感謝したい。

後半のフランクの交響曲も珠玉の演奏だった。指揮者の自在な表情付けによくオケが応え、重層的な響きが醸される。冒頭動機はじめ各フレーズの導きは繊細で、噛んで含めるような進行から生まれる音楽の滋味は老匠ならではのもの。指揮自体は緩いところもあるのだが、それが音楽の弛緩を生むというよりは柔らかな音色に繋がっているのが興味深い。敬虔な第2楽章を経て、第3楽章終盤のハープを伴った揺蕩いには心を奪われた。この箇所がこれほど儚く、終結へ向かうのを躊躇うようにしっとりと響くとは思ってもいなかったし、そういった演奏を聴いたこともなかった。決して派手なプログラムではなかったが、実に中身の濃い、しみじみとした演奏会だった。オケは全曲通してイングリッシュ・ホルンの活躍が目覚ましく、指揮者も大いに讃えていた。