2018/10/27
新日本フィルハーモニー交響楽団 第596回定期演奏会
@サントリーホール 大ホール

ブルックナー:交響曲第9番
ブルックナー:テ・デウム

ソプラノ:山口清子
アルト:清水華澄
テノール:与儀巧
バス:原田圭
合唱:新国立劇場合唱団(合唱指揮:冨平恭平)
管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団
コンサートマスター:崔文洙
指揮:上岡敏之

10月のサントリー定期はブルックナー「交響曲第9番」「テ・デウム」という、「第9番」第4楽章が完成しなかった場合の措置として作曲家が生前口にした組み合わせによる上演。今回の演奏からは、この連続演奏への指揮者の意図がはっきりと聴き取れた。もしそれぞれ単独で取り上げられていれば、違った演奏になったのではないかと思える。ある楽曲が取り上げられる文脈の相違により、違った個性や性質を帯びてくる―これもまたライヴ特有の面白さであろう。「第9番」は続く「テ・デウム」を前提とし、不協和な要素を強調しすぎないアプローチ。一方「テ・デウム」は第3楽章の清澄な終結からスムーズに流れ出すアプローチ(冒頭のC-durもあまり威容をもって響かせない)。この両者の「歩み寄り」により、約90分のライヴとしての統一性が充分に伝わった。「第9番」において、数々の試みが最も成功していたのは2楽章か。響きのフォーカスが瞬間毎に変化する軟体動物の如きスケルツォ(特に主部回帰)は特異で、このコンビならではの音楽だ。全体を俯瞰すると、徹底した最弱音や弦5部のバランス彫琢は見事だが、ホルン群を筆頭に金管は鋭敏な棒の変化に対応しきれず散漫さが目立った。独唱者が入場し、拍手もなく開始された「テ・デウム」の厳かな運びと深いパウゼは秀逸で、明らかに「第4楽章」としての位置付けで演奏されている。重唱はやや美しさを欠いたが、新国立劇場合唱団の合唱は見事に役割を果たした。