2018/6/30
新日本フィルハーモニー交響楽団 第590回定期演奏会
@すみだトリフォニーホール

ベルク:歌劇「ルル」組曲
ベルク:アルテンベルク歌曲集

マーラー:交響曲第4番

ソプラノ:林正子
管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団
コンサートマスター:西江辰郎
指揮:アンドリュー・リットン

6月末から7月上旬にかけての新日本フィルには、ダラス響、ベルゲン・フィルなどを歴任し現在シンガポール響首席客演指揮者の任にある名匠アンドリュー・リットンが登場。日本のオーケストラでもお馴染みの存在だが、新日本フィルとは初共演だ。ベルク「ルル」組曲、アルテンベルク歌曲集、マーラー第4番と、時代を遡上して世紀末音楽史を見つめる好プログラムだが演奏者・聴衆の双方にとってややヘヴィーなものかもしれない。されど演奏は充実。前半のベルクではリットンの流麗な棒が分裂症的な曲世界を描き出し、林正子のソプラノが艶めかしく交わる。「アルテンベルク歌曲集」に散りばめられた音画の数々には驚嘆するばかり。
マーラー「交響曲第4番」は柔和な響きが印象的だ。リットンの音楽性ゆえか曲に潜む毒はあまり浮き出ないが、推進力ある棒にオケがよく応えた好演となった。第1楽章終結のテンポの動かし方(楽譜通り)、第3楽章での和音の重ね方等、細部の丁寧さが際立つ。奇しくもこの週の東京ではマーラーの演奏会が相次いだが、リットンと新日本フィルの演奏はバランス良好で秀逸だった。ただベルクで魅せた独唱はここでは精緻さを欠き、全く個性の異なる2つの世紀末作品における歌い分けの限界を感じる結果に。