2018
2018年に接した公演の中で、印象に残ったものについて簡単に振り返ります。
まずは回数のまとめを。
ジャンル別まとめは、演奏会形式オペラや室内オケなど決め難いものが少なくないので行いません。
また出演・来日の頻度などに個人差があるので、演奏家別も行いません。 

【ホール別回数】
1位:サントリーホール(84回 うち大ホール83、ブルーローズ1)
2位:すみだトリフォニーホール(20回)
3位:東京芸術劇場(19回)、東京オペラシティ(19回 うちコンサートホール18回、リサイタルホール1回)
5位:東京文化会館(17回 うち大ホール11、小ホール6)
6位:NHKホール、ミューザ川崎シンフォニーホール(15回)

【オーケストラ別回数】(※ピットで聴いた公演も含む)
1位:都響(34回) 
2位:新日本フィル(26回) 
3位:読響(22回)
4位:東響(21回) 
5位:N響(16回)
以下、東フィル(15回)、シティ・フィル(8回)、日フィル(6回)、東京佼成WO(4回)、京響(3回)など。
 
海外団体は聴いた順に、香港フィル、レ・ミュジシャン・デュ・ルーヴル、シンガポール響、クリーヴランド管(4回)、レ・シエクル、スロヴァキア・フィル(2回)、バンベルク響、アムステルダム・バロック管&合唱団、ロシア国立響、ロンドン響(3回)、シュターツカペレ・ドレスデン、ヴェニス・バロック、バイエルン放送響、ドイツ・カンマーフィル、パリ管。全20回。(前年比+3)

【回数総計】 
258回
2017年:216回
2016年:228回
2015年:225回
来年は減らさないと。

さて、それでは公演の内容について。まず「印象に残った公演」を聴いた月順に24公演選びます。続いて、その24公演とは別に「特に印象に残った公演」を更に10公演選びたいと思います。選出はあくまで個人的嗜好によるものです。該当記事(本ブログ以外の媒体含む)がある公演については紐付けしてあります。

【印象に残った公演24選】
2/21 メルクル/都響 二期会「ローエングリン」 
3/4 びわ湖ホール「ヴァルキューレ」
3/17 タン・ドゥン/新日本フィル オーガニック三部作…実演に感謝。これは生でないと。
3/31 インバル/都響 未完成&悲愴
4/10 大野和士/都響 マーラー第3番…前日の?が嘘のような立派な名演。
4/19 トーマス・ヘル シューマン、アイヴズ…プログラム・演奏共に鉄壁。
5/13 マケラ/都響 ベートーヴェン、シベリウス…Hats off, gentlemen! A genius!
5/20 新国立劇場「フィデリオ」 
5/22 下野竜也/都響 メンデルスゾーン、コリリアーノ
7/8 新国立劇場「トスカ」…ヴィオッティの棒、充実の歌手陣、美しい演出と文句なし。
7/11 東京現音計画#10 山根明季子
7/15 ノット/東響 エルガー「ゲロンティアスの夢」…ノットがこれほどこの作品に適性があるとは。
9/16 坂入健司郎/東京ユヴェントス・フィル マーラー「千人の交響曲」…今年乱立した「千人」の中でも独唱陣は総合優勝。オケの熱も凄い。
9/23 カンブルラン/読響 モーツァルト、ブルックナー…前半アンデルシェフスキのピアノに文字通り吸い込まれる体験。
9/28 カンブルラン/読響 ペンデレツキ、シマノフスキ、ハース、ラヴェル…年間ベストプログラミングでは。演奏も凄まじい。
10/18 吉井瑞穂&北谷直樹 デュオ…北谷直樹のチェンバロにぶっ飛んだ。
10/24 ルーカス・ゲニューシャス ショパン、チャイコフスキー、デシャトニコフ…若手最注目の噂は本当だった。
11/3 ノット/東響 ブラームス、ラフマニノフ…とにかく後半のラフマニノフが規格外の超名演。
11/9 2台ピアノの新たな可能性~マントラをめぐって~
11/25 大井剛史/藝大ウィンド バーンスタイン、大栗裕、田村文生、R. シュトラウス…吹奏楽を聴くようになって最も感銘を受けた演奏会かも。
12/13 フェドセーエフ/N響 「くるみ割り人形」…これほど優しく滋味深いこの曲はもう聴けないのでは。
12/15 新国立劇場「ファルスタッフ」…アンサンブルオペラの妙味を存分に堪能。

【特に印象に残った公演10   
1/21 ズヴェーデン/香港フィル「神々の黄昏」
1年の初めの弾丸遠征(12時間滞在中6時間はオペラ)でこの演奏を聴いてしまい、「ああなんて幸先の良い1年なんだ」と思っていたら、どうやら総合感銘度ではこれが最上位に来そうな予感。錚々たる歌手陣と合唱、援軍が加わっていたとはいえパワー絶大な香港フィル、ズヴェーデンの無理ない運びの三位一体。
2月の新日本フィルは全て独墺圏の作曲家で定期シリーズが組まれ、見事な物語を形成した。その中でもシュテンツが指揮した2回の感銘度は比類なく、完全対向配置(チェロを中心に全ての弦楽器が左右に分かれる)の威力に加え、そもそもの音楽の鮮烈さが尋常ではない。オーケストラの音が豹変するとはこのこと。

○2/18 新国立劇場「松風」
ようやく上演相成った細川俊夫のオペラ。サシャ・ヴァルツの舞台造り、細川の禁欲的かつ生々しい音楽が合わさった作品は深い感銘をもたらした。生と死の境界線の曖昧さ、創作における日本的発想と西洋的発想の逡巡など、全方位に思考の糸口が散りばめられていた。

5/10 ミョンフン/東フィル ベートーヴェン「フィデリオ」
まさかの対決となってしまった5月の「フィデリオ」、双方に良さがあり比較はナンセンスだが、音楽面ではやはりこちらを採りたい。ザイフェルトの„Gott!“第一声は未だに耳に焼き付いている。

6/6 ヴェルザー=メスト/クリーヴランド管 ベートーヴェン
初日のみこちらで執筆。異次元体験の連続、という点では今年屈指であった。超大編成が一糸乱れぬ合奏を繰り広げる「英雄」も忘れ難いが、1日だけ選ぶなら「レオノーレ」第3番の音の粒立ちに現代オーケストラの極北をみた6/6。

6/12 ロト/レ・シエクル ドビュッシー、ラヴェル、ストラヴィンスキー
今年最も注目されていた団体の一つであろう「レ・シエクル」の再来日。「春の祭典」の新鮮さは版の問題も含めてだが、ドビュッシー「遊戯」がこんな曲であったかという驚きが自分としては第一に思い出される。ロトの多彩な活動は2019年以降も楽しみ。

○9/24 ラトル/ロンドン響 バーンスタイン、ドヴォルジャーク、ヤナーチェク
幸運にもサントリーホールでの3公演はすべて聴くことができた(25日の記事はこちら)。今を生きる指揮者として進化し続け、攻め続けるラトルの姿勢を柔軟かつハイレヴェルに音化するロンドン響は、プログラムやソリストの選択も含めいわゆるありがちな来日公演とは一線を画した。1日選ぶなら、ロンドンから金管別働隊を連れてきたヤナーチェク「シンフォニエッタ」を含む初日。

○10/5 フォーレ四重奏団
筆者が音楽の兄(年齢的には父?)と(勝手に)慕うMさんに「絶対行かなきゃダメ」と強く背中を押していただきようやく初体験となったフォーレQ。予想の50倍くらい凄かった。ギリギリまで攻めまくりつつフレーズ単位で完璧に意思疎通が行き届いたアンサンブル。そしてアンコール「展覧会の絵」は編曲含め仰け反らんばかり。本当に行ってよかった。

10/21 アントニーニ/読響
イル・ジャルやバーゼル室内管とのCDで親しみ、ベルリン・フィル客演のベートーヴェン第2番で完全に恋に落ちたアントニーニをようやく実演で。そのベートーヴェンプロも凄かったが、ハイドンとヴィヴァルディ、バッハ(独奏のアヴィ・アヴィタル編)による芸劇のマチネがもう楽しくて仕方がない音楽空間。日下紗矢子コンマスが果たした役割も計り知れない。

11/22 ファジョーリ、ヴェニス・バロック
こちらもMさん他に強く奨められて行った。結果、これを聴いていなかったらと思うとゾッとする。異次元のカウンターテノール、3オクターヴを何の障壁も無く軽々と往来するその技は一体何。そして勿論音楽性も実に素晴らしい。ファンの熱が招聘元を動かし、ファンが演奏家も動かすという会場の空気にも感動した。水戸も行きたかった...

【番外編・いけなかったで賞】
10/31 ロベルタ・マメリ…シューマン行ってる場合じゃなかった。えーん。
11/7 RIAS室内合唱団「聖母マリアの夕べの祈り」…完全にアンテナ不足。ぐぬぬ。
12/5 紀尾井ホール室内管&バイエルン放送響 ブルックナー第7番(室内楽版)…最高の出演者でこの編曲を聴ける機会だったが体調不良。ちーん。

【番外編・いただけなかったで賞】
文字反転させてありますので、気になる方はどうぞ...
6/28 マイスター/読響 マーラー「復活」
8/9 藤岡幸夫/日フィル ラフマニノフ×ヴァレンベルグ日本初演、シベリウス第1番
10/31 ティーレマン/シュターツカペレ・ドレスデン シューマン第1夜


今年も沢山の素晴らしい公演に接することができました。素敵な音楽を奏でてくださった演奏者の皆様、事務局やスタッフの方々、その他遠征などでお世話になった皆様、本当にありがとうございました。来年も一期一会の音楽との出会いを楽しみに、この項を閉じたいと思います。